ここは、ボーカロイドと人間が同じように暮らせる世界。
ボーカロイドもカラダがあり。
食事をし、勉学に励むことも働くこともでき、人間と異なる部分は、さほどない。
とゆーか、ほとんど一緒。
これはそんな世界で、ボロアパートに住むボーカロイド達とマスターの日常の話。
a.m.7:00
ジリリリリ!
ピピピピピ…
ちゃらりらら~
けたたましく鳴るいくつもの目覚まし時計&ケータイのアラーム。
「うっさぁ~いッ!」
私は片手で耳を押さえながらもう一方の手で目覚ましを止める。
ベッドから起き上がり、制服に着替える。
髪型を手で軽く整えて部屋を出ると、毎朝通りトーストの『チーン!』と焼き上がりを教える音と、味噌汁の香がキッチンから漂ってきた。
「おはようございます、マスター」
「おはよ、ますたー」
キッチンでは風音キクヨと夜瑠紀デネが朝食の支度をしてくれていた。
「おはよう、二人とも!」
私の家は近所でもちょっと有名なアパート『亜種藍荘』
昔は学生さんの下宿をしていたらしいけど、先代の管理人のおじいちゃんが死んでからは私のお父さんがこの建物を引き継いだ。
下宿する人もいなかったこの建物をお父さんはアパートにする、とか言い出して…。
改築費用とかもないから、各部屋も一部屋だけだし…小さいし…正直言って、アパート感は0。
下宿の時となんら、変わりはない。
ただ、違うのは建物に名前がついたこと。
昔はなぜだかボーカロイドを入居拒否するアパートが多かった(発声練習などで近所迷惑になると思われたから)。だから、お父さんはボーカロイドが入居しやすいように『亜種愛荘』と名前をつけようとしたけれど…愛はさすがに…なんかアレだったから…藍にしたら?という、私の提案を受けて『亜種藍荘』になったんだ。
でも、だからって…
建物全体を藍色に塗る必要はないよね、お父さん。
「なぁに一人で考え込んでんの?」
ふと気づくとデネにデコピンされた。
「あ、あはは…。毎朝思うこと~」
「アパートの壁が真っ青ってこと?」
「う…うん。」
「ま、いいんじゃないん?目立つし、判りやすいし」
「そうなんだけどね~…」
話しているときに二階からドタドタ階段を降りる音が聞こえる。
「「おはようございます大佐!!」」
声の主は電波ケイと厨鈍ヨウの双子から。
あ、大佐とか呼ばれてるのは私のことらしい。
「お、おはよう…ケイくん、ヨウくん」
「今日も魔物に荒らされた気配はありません!」
「…大佐の守護霊も大丈夫…です」
「あ、あは…は」
「マスターおはよっ☆」
「マスターおはようございます」
背中に飛び付きながら挨拶をする兎音ラビと、兎音ラン。
「うわぁッ!ちょ…。らーびー、朝からおどかさないでよ~」
「なんかボーッとしてたから、起こしてあげようと思って♪」
「アンタは加減をしりなさい」
らん子さんがラビにゲンコツひとつお見舞いする。
「いったぁ~!お姉ちゃんこそ加減を知れえぇ!!」
「姉にそんな口きいていいと思ってんの!?」
あわわ…、朝から姉妹喧嘩…。
「うっせぇなぁ、朝からなにしてんだよ」
そう言ってふらっ、と現われたのは理戒フノオ。
「なにやってるんだよ、朝から…。俺今日は7:30起きだったのに、目ェ覚めたじゃねえか」
「よっす、フオ。朝ご飯トーストでいいな?」
「ん。サンキュ、デネ」
リビングが騒がしくなってきた…
じ、人口密度が…
とか、思ってたらまた誰かが降りてくる音が。
「おねーちゃん、おは~!」
「ますたぁ、おはようござます~」
「皆さん、おはようございます」
笛音リコ、譜手苦サレ、居自家テルが一緒に降りてきた。
「おはよう、三人とも」
「おねーちゃん、アホ毛たってるよ?」
「はっ!?アホ毛!!?」
リコに言われて慌てて頭上を触ると、確かに一束の毛がピコッ、と…
「なっ、みんな朝からニヤけてると思ったらぁ!つーか、誰か言ってよぅ!」
一同、大爆笑…
いやあの、私笑い者にされてるよね?
一応、マスターのハズなんだけど…
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