「ふ〜ん、異世界傭兵団なんてあるんだ」

 パーティーメンバーのうち、レンはサード・ホイールズなる異世界傭兵団の求人広告に惹かれていた。異世界中を駆けつけると書いてあるフシギな職業、傭兵は中高生男子の興味をそそっている。

「でもあんたコレ、募集がレベル31からだって書いてあるから今のあたしたちじゃムリよ」

「あっ! そうだね…レベルの条件が達してないや」

「飼いネコ探しもちょっとGが安い気がするわね。ねえミクちゃん、レン、このバスヴァンパイア退治ってのそこそこ良くない?」

「バスヴァンパイアさん退治? ……うん。報酬も80Gだから悪くないね♪」

「じゃあ、このクエストに決まりよ」

「僕も悪くないと思う」

 パーティーメンバーの意見は一致した。あとは受けたいクエストを1番窓口のお姉さんに伝えるだけだ。

「ええ〜と〜っ、このバスヴァンパイアさん退治のクエストを受けさせてください」

「わかりました。では、今から依頼主に連絡しますので少々、お待ちください」

 受付のお姉さんは、回すダイヤルタイプの黒電話の受話器を手に取り、クエスト依頼者とコンタクトを取りだした。

「あっもしもし。わたくし、イバーノの職業安定所の者でありますが……あっはい、そうです。クエスト受注者が、こちらのクエストを受けたいそうでして面接を希望しておりますが、お時間のご都合のほうは如何でしょうか?」

 少しばかり会話文が長い電話のやりとりであるが、これは“ゲンジツセカイ”と呼ばれる異世界の職業安定所で日常的なのである。

「はい、かしこまりました。では、クエスト受注者へ16時に面接へ来るようお伝えします」

 静かに黒電話の受話器が『チンッ』と音が鳴ると、受付のお姉さんから説明があった。

「ではですね、こちらのバスヴァンパイア退治の依頼主はブラム通り12番地に住む、レイヴァン・ヘルシングさんの屋敷へ向かってください。レイヴァンさんは16時から貴方たちを待っておりますので、それでお願いします」

「はい、わかりました」

 受付のお姉さんは、そう言ってA4サイズの紙に依頼主の住所を書いた地図を手渡してくれた。
 地図を受け取ったミクたちは、時間に少し余裕があったので噴水広場の露店を見てまわって時間を潰すことにした。

「お金がないのにお店を見てまわるの、けっこうキツいわよね。町を探索してアイテム探しでもする?」

 リンは時間潰しに町フィールド内でアイテムを拾う作業を提案した。これはRPGのセカイだと基本的な行動である。

「そのアイデア良いね、リンちゃん」

「ミクちゃん。でも、町の探索も“旅の手引き”で注意事項が書いてあったと思うよ」

「そうだったかしら? ちょっと読んでみるねレン君」

 ミクたちは[旅の手引き〜これであなたも立派な冒険者]を開いた。

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G clef Link イバーノの町でクエスト13

職業安定所はどこのセカイも変わらない・・・と思う

次話
https://piapro.jp/t/xgeb

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投稿日:2020/01/02 21:12:06

文字数:1,191文字

カテゴリ:小説

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