1,

醜い顔だ何ぞという輩を見つけては
「なにもしらないくせに」と呟く毎日
顔半分を覆う白い巻き物 それでもはみ出る黒いヒビ

「キタナイかしら」誇りを持ってるわけじゃないのよ
だって醜いだなんて言われるんだから 他人感覚は大事でしょ?
嫌い嫌いなんて言葉も右から左 人の雑踏に踏みつぶされて

そんな中出会ったバカな奴 反対側の顔に黒い巻き物
「同族?」なんて口から洩れた言葉に目が見開かれる


サビ)

「お前と一緒にするな」なんてデカい声が耳を串刺して
苛立ちそのままに見上げた数十センチ バカみたいに大きな奴を睨んで

「こっちのセリフよ」なんて咆えてみせれば、また目が見開かれる
アホ面さらしたこいつの相手、つとまるわけないでしょ?

ヒビ割れ顔の私と大男 商店街の喧騒に二人ぼっちの隔離ワールド

これほど笑えない話他にないって!


2,

ストローかじって顔に似合わず不貞腐れたその顔
目を刺すブリリアントカラーの部屋 瞬きで忙しない
男は巻き物指さして明るくいった

「ここにはなにもないんだ」
虚空が見たいなら見るか なんて戯言は男の脛に蹴りでたたき返す
私の方がと言いかけて今更思い出す

見た奴は大体嫌っていくわけで こんなバカに言って平気かな
顔を覗かせる臆病心 男の言葉で怒りと一緒に外に射出された


サビ2)

「あんたに分かるかよ」そう叫んでも知らんぷり
真っ直ぐとんでく腕を男が掴んで 真剣な顔をして口を開いて言い放つ

「臆病心は俺も一緒さ、話してみればきっとわかる」
今まで閉ざされていた口がそう嘯くんで ためしに私が怖いかといってみた

ヒビ割れ顔で怒る私と呑気な男 極彩色の浮き立つ隔離ワールド

これより泣ける話 もっと世にあるはずよ!



サビ3)

「独りじゃない」なんて笑う男に何も言えず
「これからは俺と一緒に生きよう」 プロポーズのつもり?ヘタクソね

笑ってやれば赤く染まるその顔 「やっと笑った」なんてそんな言葉
右から流して左でせき止めて 脳内でずっと転がして笑うのよ

ヒビ割れの笑顔と片目の照れ笑い 二人で始める融合ワールド

こっからがスタートなのよ 私の創世話は!