(A-1)
揺れる視界 空は濁り 頬を垂れる雫
壊れかけたその手は 何を掴む
(A'-1)
気怠さ(けだるさ)が残る 夏の日 聴こえる蝉の呼(こえ)
駆け行く 少年(キミ)は 愉快(たのし)そうに笑った
(B'-1)
もう歩けないや とぼやく その足は
視えぬ鎖に 囚われ縛られ
(B'-1)
何時(いつ)まで 此処(ここ)にいるの? と尋ねられ
手を伸ばすけれど 届かない
(C-1)
陽炎に背を向け 扉に手を掛けたら
懐かしい風が 横を通り抜けて
(S-1)
掲げたその手には 赫き花が
眼下に広がる 黒き大河
繰り返す かくれんぼ
『もういいかい』 と問いかけた
(A-2)
目が醒める 見上げれば 満天の星
潰れかけたその瞳(め)は 何を映す
(A'-2)
虚しさが残る 夏の日 聴こえる鵺(ぬえ)の呼(こえ)
去り行く 少年(キミ)は 不思議(おかし)そうに笑った
(B-2)
もう喋れないや と嘆く その喉は
解けぬ呪縛に 魅せられ苦しみ
(B'-2)
何処(どこ)まで行くの? と尋ねられ
立ち止まるけれど 戻れない
(C-2)
月光に照らされ 鍵を手にしたら
懐かしい名が 呼ばれた気がして
(S-2)
震えたその瞳には 赫き焔(ほむら)が
闇に堕ちる 淡き光
舞い散った 花弁(はなびら)は
『償いだ』 と嘲った
(C-3)
崩れゆく世界で 闇の中問うた
これは夢か幻か 願わくば 此処(ここ)から
(嗚呼)
(S-3)
掲げたその手には 優しい少年(キミ)の手が
嘆く瞳には 蒼き雫を
繰り返す かくれんぼ
『もういいよ』 と呟いた
(A-3)
消える幻想 天を仰ぎ 瞳(め)を細めれば
壊れかけたその手に 花は有り
(A'-3)
寂しさが残る 夏の日 聴こえる風の歌
手を振る 少年(キミ)は 『おかえり』 と微笑んだ
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