彼は華に依存しすぎていた
それがないと生きられないほどに
彼の部屋は華であふれていた
四季折々の華達がいつも彼を包んでいた
彼は愛した
沢山の姿の花々を
華に愛を注いでも
華は彼に愛を返す事がなかった
それでも彼は華を愛し
華からの愛を求め続けた
華は生きていた
しかしそれを知ると彼はさらに離れられなくなってしまう
華は己を憎んだ
愛したくても愛せない自分の運命を
だから夢幻の世界で
生きる限り彼を愛そうと誓った
でも華はいつか枯れてしまう
永く生きた華には
美しさのかけらもなく
次々に消えて行った
形あるものはいつか消える
当たり前の事なのに
彼はさらに求め続けた
そして、思い出した
「夢幻の世界なら彼女に会える」と
部屋に充満した華の香りは消えることなく
彼が現実に戻ることはなかった
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