この物語は、カップリング要素が含まれます。
ぽルカ、ところによりカイメイです。
苦手な方はご注意ください。
大丈夫な方はどうぞ。
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ルカはまだ眠っていた。そのまま少し眺めるが起きる気配は無い。
「ルカさん。」
「……ん…………」
呼びかけたが向こうを向いて寝返りを打つだけだ。がくぽは溜息を吐いた。
「ルカさん、朝だよ。」
反応は無い。声を掛けるだけでは駄目らしい。がくぽは彼女の背を軽く叩いた。今度はこちら側へ寝返りを打つがやはり起きない。
寝起きが悪いのか?
ふと彼女の顔を見ると、幸せそうな寝顔だった。がくぽは少し悔しくなった。
キスをしたら起きるとか……まさかな。
そう思って彼女の寝顔に顔を近づけ軽く口付けた。微かに彼女の眼が開いた。
「……おはよう、ルカさん。」
次の瞬間、彼女の眼がぱっちりと開いた。
「え……?」
「目、覚めた?」
「えええええええええ?!」
勢い良く起き上がり、すぐに額に手を当てた。数秒の間そのまま動かない。
「……え……私……。」
「昨日お店で気を失ったのは、覚えてる?」
「……昨日…………。」
暫く黙っていたが、額の手が口元を覆った。顔が赤くなった。
「思い出したみたいだな。あの後ルカさんなかなか起きなくて、お店に休める場所が無かったから悪いけど俺の家に運んだ。それがここ。」
彼女はがくぽの方へ顔を向けた。まだ良く理解できていない表情だった。
「……がくぽさんの家……?」
「そう。」
彼女は目を瞬かせ、ハッと気付いて服装を見た。
「服がしわになるのは分かってたけど、そのまま寝かせた。手は出してないから安心して。」
彼女はみるみるうちに赤くなった。
「……ごめんなさい……。」
「謝らなくていいよ。……俺も悪かったんだし。」
今度はがくぽの顔が赤くなった。誤魔化すように時計を見る。
「実は今朝の六時十五分。ルカさん今日仕事だろう。間に合う?」
「……え……。」
頭がまだうまく働いていないのかもしれない。
「店からここまで車で約十分。ルカさんの家から俺の店まで車で何分?」
「……十五分。」
「あ、結構近いんだ。じゃあいつも起きてるのは何時?」
「七時半。」
「朝家を出るのは何時?」
「八時半。」
「朝起きてから家を出るまで何してる?」
「ええと……シャワー浴びて、着替えて、ご飯食べて、歯を磨いて、お化粧して……それくらい。」
「じゃあ今すぐ出なくても充分間に合うな。一応朝食作ったんだ。和食で良ければだけど。食べてく?」
「え?」
意外そうな顔をされた。
「もしかして和食駄目だった? 要らないならそのまま車で店まで送ってくけど。」
首を小さく左右に振り、ルカは俯いて小さな声で言った。
「……お言葉に甘えて、朝ご飯いただきます……すいません。」
洗面台へ案内してから、がくぽはヤカンを火にかけてから朝食の味噌汁と焼き魚、常備菜の煮物を温め直し、洗って拭き上げて置いた客用と自分の食器にそれぞれ盛りつけ始めた。ご飯に味噌汁、焼き魚、煮物、おひたし、漬物。昔から朝は和食でないと調子が出ない。
「がくぽさん……洗面所とタオル、ありがとうございました。」
ルカがおずおずとキッチンを覗き込んだ。
「うん。そっちのテーブルのところで待ってて。今持ってくから。」
こくりと頷いてルカは歩いて行った。がくぽはお盆に盛りつけた皿を並べ、持っていった。
「わぁ……。」
テーブルにそれぞれの分を並べて支度が整うと、ルカは嬉しそうに目を見開いた。
「誰かが作ってくれるご飯って久しぶりです……美味しそう。」
「じゃ、食べようか。……駄目そうだったり多かったりしたら残してくれていいから。」
「いえ、大丈夫です。」
「なら良かった。……頂きます。」
「いただきます。」
手を合わせて言った後、ルカは箸を取り、味噌汁の器を持って一口啜った。
「……美味しい。」
がくぽは思わずルカに微笑んだ。誰かと食べる朝食はがくぽも久しぶりで、それがルカと一緒だと何となく気持ちが温かくなった。キッチンからヤカンの湯が沸く音がし、一言断ってからがくぽは席を立った。キッチンの火を止め、お茶を湯飲みに二つ用意した。それを持ってまた朝食の席に戻る。
「席立ってごめん。お茶どうぞ。」
がくぽとルカのそれぞれのところに湯飲みを置く。
「ありがとうございます。」
そのまま朝食を再開し、たまに他愛ない話をしながら六時四十五分にはすっかり食べ終えた。
「さて、片付けは戻ってきてからやるからここに置いておいて。送ってくよ。」
ルカが部屋を出てからがくぽは一通り確認して鍵をかけた。傘が必要なくらいの雨が降っていた。二人は車に乗り込んだ。しばらく走っていると、助手席のルカが話しかけてきた。
「がくぽさん。」
「何?」
車を運転中なので前を見たままがくぽは応えた。
「昨日……本当にすみませんでした……。」
「……こっちも悪かった。ごめん。……もしかして初めてだった?」
「いえ……あの……。」
ちらりと一瞬だけ横目で彼女を見ると、その顔色が赤かった。
「嫌だった?」
「……え……?」
どうやら俯いてしまったようだ。
「ごめん。無理に答えなくていいよ。」
がくぽは交差点でハンドルを切りながら言った。
「今度から手加減する。嫌だったらちゃんと言ってくれれば無理にしたりしないから。」
ルカから小さく、はい、という返事が聞こえてきた。
「話は変わるけど、これからも店では今までと同じように接して。」
「あ、はい。……がくぽさんのお仕事場ですし、ライブの日は私にとってもお仕事場ですから、それは大丈夫です。」
生真面目過ぎる回答。少し不安が残るのでがくぽは試しに聞いてみた。
「そういえば、ルカさんのファンの人ってお店以外でも会いに来たりすることはある?」
「たまにいますけど……歌っているのは今のところがくぽさんのお店だけですから、ライブの日を教えてその日にお店に来て下さいってお伝えするだけです。」
「……それ、もしかしてルカさん、歌だけ目当てに来てる訳じゃないって分かってる?」
「え? ……歌以外に何かあるんですか?」
やはり彼女がこの辺りを気付くことには期待できなさそうだ。心配の種が増える。
「……あまりにもしつこく付きまとうファンの人がいたら、俺に言って。追い払うから。」
「え、でもお客さんですし……。」
「店に居て目に余るときはマスターとして間に入ることはできるから。それにこれからはプライベートで困ったらお客さんとか関係なく俺に言って。」
「いいんですか? 大抵がくぽさんのお店のお客さんなのに。」
「いいんだよ。……俺がプライベートでルカさんを守りたいから。」
「……ありがとうございます……。」
……ここまで言わないと分からないのもかなり心配だ。
「それから、これは提案。店が休みの日、これから毎週会える?」
「はい。」
「じゃあその時には会おう。楽器は持ってく。」
「毎週練習しますか?」
「……それでもいいけど、普通に過ごす時間も欲しい……またその時に決めようか。」
「そうですね。」
ルカが答えたときに丁度店の駐車場に着いた。
「お疲れ様。着いたよ。」
がくぽはサイドブレーキをかけながら言った。時間は七時。雨で少し遅くなったようだ。がくぽは傘を持って車から出ると、それを差してルカの側の扉を開けた。
「忘れ物が無いように気をつけて。」
ルカはシートベルトを外し、彼女のバッグを持って車から降りた。
「傘はある?」
「車がすぐそこですから。」
指差した先には丸いフォルムの小型車があった。彼女の車だ。
「……がくぽさん。」
彼女ががくぽの服を軽く引いた。
「何?」
がくぽは差した傘ごと少しだけ彼女の方へ屈んだ。
がくぽの唇へ、微かに彼女の唇が触れた。
「……お店で二人で話せない分、メール待ってますから。ありがとうございました。」
顔を赤くして彼女は一気に言うと、小さく会釈をして車の方へ走って行った。そして慌しく乗り込んでエンジンをかけ、発車した。
彼女の車が駐車場を出る前に一度顔が合った。彼女ははにかんだ微笑を浮かべて小さく頭を下げた。
今度はがくぽの顔が赤くなり、空いている方の手で口元を押さえた。
「参ったな……。」
彼女からのキスでここまで嬉しくなる自分に戸惑いながら、がくぽは彼女の車が走り去るのを見送った。
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ご意見・ご感想
kumo
ご意見・ご感想
はじめまして。kumoです。こういうぽルカ大好きです。これからも楽しみにしてます!
2010/10/23 23:14:48
村上夏木
ありがとうございます!!
こういうぽルカ大好きと言っていただけて嬉しいです^^
kumoさんも物書きさんなんですね。
カイメイ大好きなので、めーちゃんがかわいくて兄さんが何気にかっこよくて、素敵なカイメイだなぁとほのぼのしつつ読ませていただきましたw
これからも楽しみにとは……ありがとうございます!
ご期待(?)に添えるようにがんばりますので、また新しいのを書いたときは覗いてやってください^^
2010/10/24 19:58:03
春月(はづき)
ご意見・ご感想
わああああ!
どうしようニヨニヨがとまらないwww
初々しいルカ可愛い(*´Д`*)
きっかけだなんて…光栄です!
こちらこそはまって下さってありがとうございます!!
2010/04/14 00:44:53
村上夏木
ニヨニヨがとまらないなんて光栄ですwww
春月さんのところのぽルカ(特にルカ)がほのぼのかわいくて萌えすぎたのが全ての始まりですからw イラスト拝見してそのかわいさにニヨニヨしてt(ry
そこから勝手に暴走した結果がこれでw←
おかげさまで楽しく書かせていただきました!
こちらこそありがとうございます^^
2010/04/14 22:49:49