【狐のお面】
その心ちょうだい。
静かな境内の上空に打ち上げ花火が音を響かせ夜空を彩る。
独りで眺めていた僕に、杏子飴を手にした子供が近づいてきた。
狐のお面をしている。僕は慌てて、目に溜めていた涙を拭う。
…君、迷子かい?子供は首を横にふる。
…凍りついたその心、飴と一緒に溶かしてあげるよ。
(PLUMさんの書き出しより)
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何から生まれたんだろう。
狐のお面の子供は言った。
君の母は何処かと問うと、知らないと返された。
子供は狐のお面を少しあげて杏子飴を舐める。
僕はそっと子供の頭に手をのせた。
もうすぐ夜の打ち上げ花火が終わる。
最後の花火が上がれば、もうこの子に二度と会えない気がした。
(PLUMさんの書き出しより)
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もし、この世界に夜が来なかったら
僕は、君と別れる事にはならなかっただろう。
夏祭りの夜、浴衣で出掛けた僕は君と久しぶりに再開した。
東京の学校へ出てしまった君が帰省しても会えばすぐに一緒にいた頃に戻れると思っていた。
でも君と僕との間には、見えない壁が立ちはだかっている。
(リュードさんの書き出しより)
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まるで雪みたく、溶けて消えてしまうんじゃなかろうか。
隣で杏子飴を舐める子供の頬が、白くてそんな事を思った。
狐のお面は取りたくないようで口元しか見えない。
夏祭り、最後の花火が打ち終る。夜空に煙だけが残った。子供は僕を見上げる。
何故か僕は、この子の手を握って離さなかった。
(黒豆餅さんの書き出しより)
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