[憂鬱な日々 突然の歓び]

外では、ただただ雨が降り続いていた。マスターは憂鬱そうに画面を見つめる。
カラになったフォルダに“Sia”と書いてあり、そこにカーソルを合わせ何度も繰り返されるクリック音は、雨の音以上に不快だった。データである彼女に、マスターもぼくも想いいれしていた。あの日、さんざんに泣いていたマスターを見ていられず、泣けもしないぼくは、自身とシアのフォルダを残してパソコン内のデータを狂ったように壊していた。今、パソコンには真っ暗なデスクトップに二つのフォルダだけが並んでいる。親が直したのか、辛うじてネットは使える。今までの記録は一切なくなってしまったが。シアのフォルダを押し続けても意味が無いことに気付いたのか(あるいは虚しくなったのか)マスターは大きな溜息をつき、“e”のマークを押す。調べることはやはり[VOCALOID 亜種]無駄だと思っても止められない。たくさんあるサイトの中から、何気なく見ていく。たまたま開いたページをみて、よく分からない声をあげた。
「…シ、シアっ!!ライ!シア!!」
久しぶりに聞いた気がするマスターの声。何を言ってるのか余り分からない。
「シア…が、どうかしたんですか?」
恐る恐る声をかけてみたが聞こえていないようだ。そっとモニターを覗いて、自分も唖然とする。そこは亜種主のブログのようだ。数人の亜種との生活が写メと共に書かれていた。問題はその写真だ。知らない灰色の髪でオッドアイの奴と…シア?ウサ耳などを付けているが、家に居た頃もマスターが衣装を弄っていたから…それに、シアはマスターのオリジナル亜種だ。公式ボカロとは違って何体もいるわけがない。
「誰かに、拾われてたのか!?」
「….行って来ます。」
驚きと喜びに満ちたマスターをよそに、自分は驚くほど冷静だった。ぼく等はネットを通し、データとしてパソコンを行き来することが出来る。
「シアを連れてきて!!」
「うん。連れてきます。いえ、連れて帰ります。」

このときは、シアが迷子になっていたんだと思っていた。

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【小説Ⅰ】憂鬱な日々 突然の歓び【ライ視点】

始まりだけです。
台詞少なくて読みにくいです。
非常に読みにくいです。
希望があれば、ファイルのほうに上げます。
誤字がありそうです。
ライ視点で書いていきたいですが、たまに遊音達のマスター視点になるかもしれません。
というか、この次はマスター視点です。多分。

閲覧数:87

投稿日:2009/08/03 21:15:54

文字数:863文字

カテゴリ:小説

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