『Dear 大好きな君へ

君に手紙を書くのなんて初めてだよね・・・?なんかすっごく緊張する。
今君はこの手紙をいつ読んでるのかな?朝?昼?それとも夜?
いつ読んでるかわからないからこんにちはでいいよね!
こんにちは!元気にしてる?ご飯ちゃんと食べてる?
 
ちょっと昔の話してもいい?
君とはいつも一緒だったよね。生まれた日も、生まれた病院も、名字も。
幼稚園も、小・中・高も一緒の学校だったよね。家も隣だったし。
わたしの隣にはいつも君がいた。
君の隣りにもいつもわたしいがいたよね。
幼稚園の頃の君はいっつも泣いててわたしの後ろを歩いてたよね。
わたしはずっと君を守らなきゃ!って思ってた。こんなこと言ったら君はきっと怒るよね。
でもわたしは本当に思ってたの。
その気持ちが変わったのは小学校中学年になった時かなぁ・・・
小学校になったら君の背中がだんだんおっきくなってきて、守られてるのは君じゃなくてわたしになった。
それに君は優しかったから女の子にモテてたよね。
わたしはそれを見てると胸がチクチクした。最初は気にしてなかったけど君が女の子といるのを見るたびに 胸が痛んだから病気かな?って本気で不安になったんだよ!?
あ、今思い出したけど小学校の卒業式でわたしは先生たちと別れるのが悲しくてずっと泣いてたよね。
なかなか泣きやまないわたしを見て君は「もう泣くな」って言ったけどその時君もちょっと泣いてたよね。
わたしはそんな君をみてるとおかしくてあんなに止まらなかった涙が不思議と止まったことを今でも覚えてるよ。
 
中学に上がっても君はモテてたよね。この時もずっと胸が痛んでた。
中学生になった君は背も伸びてわたしをすぐに追い越して行ったよね。
わたしは君が離れていったみたいでいやだった。
それに君を見てると胸がドキドキした。そのドキドキがなにか分らなくて頭がごちゃごちゃだった。
この胸のドキドキがなんなのかわかったのは中学の卒業式の時だったね。
卒業式の時わたしのこと呼びだしたでしょ?
君は顔を真っ赤にさせてわたしに告白したよね。ホントに顔が真っ赤でゆでたこたいだった。
わたしは君の告白されたときに胸のドキドキの理由がわかった。
わたしも君のことが好きだったの。
だから君を見てるとドキドキしたり、君が女の子と話してると胸がチクチクた。
君に告白された時は本当にうれしかった。
わたしがOKの返事を出すと君はすっごく嬉しそうにわたしのことを抱きしめたよね。
その時に初めてキスをしたよね。わたしすっごく幸せだった!

高校の思い出はあんまりないよね。同じクラスじゃなかったし。
 
明日は何の日だかわかる?
正解はわたしが余命1年って言われてちょうど1年目だよ。
だからわたしは今君に手紙を書いてるんだ。
わたし明日死んじゃうのかな?
字が汚くてごめんね。読みにくいよね。
でも許して。震えが止まらないの。
すっごく怖い。誰に助けてほしい。
でもこれはわたしの運命だから仕方がないよね。
君と一緒に高校卒業したかったなぁ・・・・
それにまだまだ君といろんな思い出を作りたかった。
君と家族になりたかった。
でももう無理だね。
こんな彼女でゴメンね。もうわたしのことは忘れていいから。
最後に、私は君のことを本当に愛しているよ。今までありがとう。じゃあね。
 
                    

                  From 君のことが大好きなわたしより』

俺は君からもらった手紙を綺麗に封筒にしまった。

ねぇ。俺今どこにいると思う?
正解は君に一番近い場所。この街で一番高いビルの屋上。

君が死んでからもう5年たったんだよ。
俺はもうお酒も煙草も吸える歳になった。
でも何年たっても君のことが忘れられなかった。
だから今から君に会いに行くよ。
待っててね。

そう言って俺は君に会うための一歩を踏み出した―――

                         -END-

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

(non title)

こうゆう暗い感じの話が書きたかったんです。

もし、もしあなたの愛する人が突然いなくなったら。
あなたはどうしますか?

閲覧数:168

投稿日:2011/09/05 19:08:49

文字数:1,665文字

カテゴリ:小説

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