星の絆
思い浮かべてみて
何もない宇宙(うつほ)に生まれて
熱き丹生(にう)の間(はざま)で
新(さら)の星の初(うい)の時
日の巡りを回り
水と空が大地(わ)を覆い やがて
小(す)なる泡沫(うたかた)の中に
淡(あわ)の霊(ち)生まれ宿り
芽生えの営み巡る時
儚くあるも絶ゆる無く
生(い)くるを求めて諸種(もろたね)の
縁(えにし)を繋ぎ栄えある
青く澄む空 渡る雲
試(ため)しと恵みの光満ち
霊(ち)は萬(よろ)種(くさ)に枝分かれ
自己(おのれ)の在り処(か)を攻め求む
争い勝ちて統べる時
この地球(くにたま)の力得(え)て
やがて諸(もろ)を使い果(は)て
大地(わ)も海も全て凍(い)てつくよ
幾度(いくたび)幾十度(いくそたび)
この暗(くら)繰り返す?
霊(ち)の汚穢隈(おえくま)の その果てに
萬霊(よろたま)奪う性(さが)か
人知る昔(いにしえ)の
多くの霊(ち)絶ゆる これ有るを… だから
新たな道探す
全てを和(やわ)す道
人皆考え学ぶ術(すべ)
授かり持ちて為せる故(ゆえ)
霊(ち)の親(たら)として和(やわ)す道
探し求める定めがあるの
新たな流れを導いて
滅びの道から生きる道
清(すが)しい風を この星に
生み出す心葉(こころは)見出そう
生きとし生ける霊(ち) 皆 愛(いと)し
慈しむ心 情け枝
繋いで結ぶ愛(いと)し輪が
新たな生(い)の霊(ち)の時 告げる
さあ 考えてみて…
全ての霊(ち)を統べる者
生(い)の霊(ち)の重さを決める罪
選んで奪って殺す咎
己の具合いで霊(ち)もて遊び
己の具合いで霊(ち)を奪う
霊(ち)は皆人の使う"て"か
人の望みを満たす"て"か
捕まえ慣らし心奪い
時至るなら これを屠(ほふ)り
使う生(い)の霊(ち)と切る生(い)の霊(ち)
これ司る咎 思うの
仇為す生(い)の霊(ち) 誰が決める
要らぬ生(い)の霊(ち)を誰が決める
要らぬ霊(ち)決める人の形
その在り様(さま)は醜いわ
その在る形 在り様(さま)が
有るべく成る日 その時を
望む想いを宗(むね)に得て
和みて共に生きる時
霊(ち)の輪が繋がる その時は
星の絆が生まれる時
新たな繋がり 在り様(さま)を
その心葉(こころは)に植えましょう
生(い)の霊(ち)と生(い)の霊(ち)をどう繋ぐ?
霊(ち)と霊(ち)の絆の在る形
この星に生きる万(よろ)の霊(ち)の
絆の繋がる その日まで
その日まで…
◎ この詩で使用した言葉の解説
※ 丹生(ニウ):「丹生(ニウ)」は、現在では一般に「辰砂」の事を言いますが、ここでは日本語の語源に立ち返り、「ニ」は「煮える」、「ウ」は「生まれる」「生じる」の意で、「煮え滾(たぎ)り、生まれる」の意として使用しました。
※ 新の星の初の時:新しい星の始まりの時(「初(うい)」とは「原初」の意)
※ 大地(わ):上代の日本では、「天」の事を「あ」と言い、「地(大地)」の事を「わ」と言いました。「わのあわうた」は「あ」から初めて「わ」で終わる様に構成されていて、「あ(天)」から「わ(地)」までの言霊48神の繋がりを表しています。言霊48神の立ち位置に興味がある方は、「フトマニ図」を参照すれば宜しいかと思います(ネットで調べてネ!)。
※ 小(す):「う」は「大きい事」を、「す」は「小さい事」を表します。例えば4代目の天皇(初めての「皇君(きみ)」です。「き(木)」は男性を、「み(実)」は女性を表し、男女一対で、初めて「君」となります。男性だけなら「皇木根(すべらきね)」です。)は「う(大)ひじに - 男神」「す(小)ひじに - 女神」ですが、この讃え名の元になったのは、二神が寒川でジャレて水の掛け合いになった時、気が付くと男神の服の裾が「大きく」ヒジ(ヒジる = 濡れる)ており、女神の服の裾は「小さく」ヒジていたので、その状態を見て二神は互いに笑い合い、それによって燃え上がった心(にごころ - 煮心)が程よく冷めて、良い雰囲気になり、生涯を共に過ごす事を誓い合い、ここに結婚と言う風習が生まれました。「ひな祭り」とは、この越の国の「ひなるの山」の「二上神」と共に、結婚と言う風習が誕生した事を祝う祭りです。この二神の現れる前は結婚と言う風習が無かったため、男女ともに、その日に行き会った、気に入った者同士がその日限りの一夜を過ごす生活を送っていましたが、それだと誰の子か分からない子をいつの間にか身籠り生むため、女性は生活に困窮してしまいます。その有様に心を痛められた3代目の皇木根の「トヨクンヌ」がそれを改善するために一計を案じて、この二神を作られたのでした。この二神の仲睦まじい姿を人々は羨ましく思い、自分達もそれに習う事で、結婚の風習が人々の間に根付いたのでした。話は大きく逸れましたが、「すひじに - 小さくひじて(濡れて)煮心が程よく冷める」の様に、小さい事を「す」と表現します。
(無駄話で恐縮ですが、因みに、一般に言う初代の天皇とされる神武天皇は13代目で、人間宣言をした最初の天皇です。天照大神は8代目の天皇で、初代の天皇は、この宇宙の万物(神を含めて)の創造主である「天御中主尊(あめのみなかぬし)」が一時的に神となって大地(わ)に降臨した「国常立尊(くにとこたち) - 木曽の御嶽山の祭神)です。話は更に逸れますが、ついでに申し上げますと、「天御中主尊(あめのみなかぬし)」は神ではなく、「神」すら作り出した、神を越えた超越者です。更に、日本神話には、この超越者である「天御中主尊(あめのみなかぬし)」すら超越した超超越者である「天祖尊(あめみおや)」が存在します。この「天祖尊(あめみおや)」は「時間」と「天御中主尊(あめのみなかぬし)」を作り出した存在で、「うい」の一息(「うい」は語源に遡ると、「始まる」「生まれる」「動く」「生み出す」の4つの意味が有るそうです)によって、「始まれ!(時間が発生しました)」「生まれよ!(「天御中主尊(あめのみなかぬし)」が生まれました)」「動け!(「天御中主尊(あめのみなかぬし)」が動き始めました)」「生み出せ!(「天御中主尊(あめのみなかぬし)」が宇宙を作り、万物を作り、八百万の神々を作りました)」の4つの命令を、ただの一息で行ったと言う事です。)
※ 淡(あわ):消え入りそうな、はっきりとしない、心許ない状態を表す言葉です。例えば「近江」と言う地名の語源となった「琵琶湖」の古名は「あわうみ(淡海)- 大地に消え入りそうな大きな水」で、その対句となる「あわち(淡路)」は、大きな水(うみ - 大水 - 海)に消え入りそうな土地の意です。
※ 霊(ち): 「ち」とは生命の本質の事で、生命そのものを表すのにも使います。例えば「血液」の事を「ち」と言うのも、「お父さん」の事を「ち(ち)」と言うのも、「母乳」の事を「ち(ち)」と言うのも、全てこの「ち(霊)」に由来します。また、「ミズチ(蛇)」は「水の霊(ち)」の意です。
※ くにたま:地球の事です。2代目の天皇である「国狭槌尊(くにさづち - 国清ツ霊)- トホカミヱヒタメの言霊8神で、所謂八王子」は父親である「国常立尊(くにとこたち)」の指示により、「くにたま八方(やも)」に下ったとあります。この「くにたま」とは地球の事だそうです。
(トホカミヱヒタメの言霊8神(アモト(天元)神)は「ヤタの原理」そのもので、中央に「天御中主尊(あめのみなかぬし) - アウワ」が存在する形を「九重 - 菊の紋章はこの「九重」を表します」と言い、宇宙の中心を表します。相撲の「九重部屋」は、現代語に訳すと「宇宙の中心部屋」となります。更に「ト(十)の教え」まで習得して、一(ヒ)から十(ト)迄を尽くすので「ヒト(一十)」となります。この「八咫の原理」「九重の道」「十の教え」を知らぬものは「人(一十)」ではなく「雛(一七)」と言う事になります。)
※ 試(ため)しと恵みの光満ち: 地球の晴れ上がりにより、大地に太陽光(特に紫外線)が降り注ぎ、多くの生物が絶滅したと考えられています。正に試練と言うべきでしょう。でも、その光を恩恵に変えた生物が居ます。葉緑体(ラン藻類)です。
その結果として、それまでに無かった、大量の遊離酸素が発生し、更に多くの生物が絶滅しました。これも広い意味では光の試練と言えるでしょう。これも恩恵に変えた生物が居ます。ミトコンドリアです。結局、そのほかの生物は、このミトコンドリア(植物は更にラン藻類)と共生することにより、試練を恵みに変えました。光は正に「試し(試練)と恵み」と言えるでしょう。
※ 大地(わ)も海も全て凍(い)てつくよ: 地球の「全球凍結」を表しています。地球は、これまでに幾度となく、これを繰り返している事が、地質学的に知られています。その原因は、特定の生物の、地球環境への過剰適応と考えられます。
※ 暗(くら): 世の道理に背く、身勝手で他者を傷つける様な行い。ソサノヲがウヒルギ(天照大神)の13人の妃の内の二人である持子姫(九頭竜の化身)と早子姫(八岐大蛇の化身)(何れも椋杵命の娘)に唆(そそのか)されて皇位簒奪を企て、人民を散々苦しめた後、終には直接事を成さんと武器を持って3人で相談している所をウヒルギの筆頭妃である瀬織津姫( - せおりつひめ(天疎厳賢木向津姫 - あまさがるいつさかきのむかつひめ))の妹の花子姫に見られ、思わず彼女を殺してしまい、「千暗の罪(ちくらのつみ)」に問われますが、この「暗(くら)」と同じ意味です。
(因みに、この後の話をすると、ソサノヲは諸神によると「ト矛法(とほこのり) - 上古の裁判」によって死罪となる筈でしたが、「ヲシカ - 教える(伝える)者 - 使者」が「花子姫が生き返ったので四百祥(よもさ)を償ったので、それで再度計る様に」との、瀬織津姫の言葉を伝えたので、その情愛の深さに諸神は涙を流しながら再度「ト矛法」を行った所、死罪から「交わりを去る刑」に変わり、下民(シタダミ - 民より下の位 - 後に神武天皇が叔父(海幸彦の子)のニギハヤヒの挑戦を受けた時、神風の歌の中でこの故事を引き合いに出し、ニギハヤヒをソサノヲに準える事で、この軍を撤退させます)に落とされ、雲州簸川を流離い、八岐大蛇退治の伝説へと繋がっていきます)
※ 心葉: 人の心の中心にあるものを「中子」と言います。そして、中子にある心情が具体的な感情の形となって周囲に表れていくものが心葉です。
※ 情け枝: 「ミヤビ」とも言います。「ミヤビ」は今では「雅」と書いて、「優雅、優美な様」を表すようになりましたが、上古の本来の意味は「相手を思いやり、相手の気持ちに深く寄り添う心」を表す言葉でした。そして、その「ミヤビ」の別な言い方こそ、「情け枝」です。
※ 生の霊: 漢字で書けば「命」ですが、日本語の語源に忠実に書けば「生の霊(生きた状態の生命)」又は「息の霊(息をしている状態の生命)」です。
※ "て": 方法や物等を表します。「この"て"の物を持って来て」とか「その"て"のやり方では巧く行かない」と言った用法が、今でもあります。例えば「ヲシデ」は「をしふ(教ふ) = 伝える」+「手段」で「文字」を表します(今では印璽」の意味の成ってしまっています)。
※ 宗: 根源の意です。ただし、男性(天・太陽)の気を宿したもの(女性・大地・月の気の根本は「源」)ですが、特に性別を意識して使ったわけではない(「源(みなもと)」だと語呂が悪い)ので、気にしないで!!
「天」の根源 = 宗(むね)
「地」の根源 = 源(みなもと)
なのですが、単に「根源」の意で、「宗」を使いました。
星の絆
オンガクに投稿した曲の歌詞です。
これは、純粋に「和語」だけの曲を作ろうと考えて、作った詩です。内容は、「人間は、現在、地球の生物の覇者となっているが、多くの生物を死滅させてきた。このままでは、再び『全球凍結(地球全体が氷に覆われる現象で、過去に幾度も起きており、生物の過活動に依るものとも言われています)』の憂き目にあってしまう。その滅びの道から抜け出すためには、この星に生きる全ての生き物との新しい絆を結ぶしかない。」と言うものです。
話は逸れますが、この度の「新型コロナウィルス禍」は、まるで人類の環境への過剰適応による、他の生物の含めた地球の資源の過剰消費に対する、地球からの警告の様ですよね。感染者しても症状が出ない人の方が多いが、一定の割合で重症化する人がいて、少数ながら死に至る人がいるが、治療法が中々確立しない。死者が少数とはいえ、感染者の1%しか死なないとしても、日本全体だと百万人以上死ぬ計算で、かなり大きな戦争でもしない限り、これに匹敵するような死者は出ないでしょう。症状が出ない感染者が多数いる以上、これを防ぐためには、経済も含めた自分たちの活動の自粛しかないので、covid19が蔓延している間は、地球環境への負荷は極端に小さくなる訳で… まあ、その事を感じた人は、決して少なくない筈です。covid19からの着想で作った詩ではありませんが、作った後で、この事に思い至りました。
閑話休題、和語だけの詩と言うのは、やはり難しい。特に、語学力の乏しい私には、これが限界(「じゃあ、何故こんな事をしたの?」と言う問いは、傷ついた者の傷口に塩を塗り込む様なものなので、ご容赦頂ければ幸いです)。日本語は本来一音一義なので、48音全ての個々の音義が判っていなければ、純粋和語の詩としては、多分良いものは作れないと実感しました。まあ、細かい部分は大目に見て頂ければと思います。
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