#2「ただそれだけで」
グミと約束した日の夜
私は家に帰って、アイツの部屋にいった
「ん?どうしたの、リン?僕に何か用?」
にこっと私に向かって笑いかけてくる、この寝癖野郎
男のくせに髪を後ろで縛ってて、正直……ない
ほんと、その顔にイラッとする
「……明日の放課後、時間ある?」
「え?ああ、また被服部かい?」
全てお見通しか……私はコクリとうなずく
一か月に一回は必ず、グミが男物の衣装を完成させてしまう
だから、コイツもある程度わかるようになってきてしまった
「いやぁ、グミさん、また作ったんだ!すごいね!よっぽど、手芸が好きなんだなぁ」
けれど、グミの好意には全く気付く気配のない、超鈍感
まぁ……私的には、それでいいのだけれど……
「リンも何か作ったりしているのかい?」
「私がそういうの苦手なのしってるだろ、ばーか」
私がこんな風に罵っても、平気で笑っていられるコイツがムカつく
「ああ、ごめん。」
しかも、すぐ謝るから余計にムカつく
どうせなら、言い返してきてくれたらいいのに……
そしたら、思いっきりぶん殴れるだろうに……
「じゃ、明日の放課後、来てよ?」
「うん、たぶん行けると思うから」
たぶんって何よ?
まったく……そういうはっきりしないところも嫌いだ
私は勢いよくドアを閉めて、兄の部屋を後にした
翌日、朝一番にグミが駆け寄ってきた
一刻も早く、結果を聞きたくてたまらないといった様子
ぐっと両手を握りしめているあたりが、かわいい
「ど、どうだった?」
「ああ、今日の放課後、来てくれるって」
「ほんと!!やったぁ」
ぴょんと跳ね上がった彼女の体
スタイルがいいので、揺れるところが揺れる
ちょっとジェラシー……
「リンちゃん!本当にありがとう!」
そういって、興奮気味に私の手を強く握ったグミ
私も思わず顔がほころんだ
放課後……私とグミは部室でアイツが来るのを待っていた
「遅いね……レン君……」
グミが少し落ち込んでいる
放課後になるのをずっと楽しみにしていたのだから、アイツが来ないとこうなるのは必然
すでに外は暗くなりかけている
「何やってんだよ……アイツは!」
私も苛立ちを隠せなかった
>>>>>>
グミは元々、手芸が得意だった
そして、好きなものの部活ならできると、被服部というものを作った
そこで初めて作った作品を文化祭で展示した
それをアイツが私の部活だからという理由で見に来た
「へぇ?これ、リンがつくったの?」
「ばか、私がそんな上手につくれるわかないでしょ?グミよ、あの子」
私が指差した先にいたのがグミ
「これ、君がつくったの?」
アイツは、さらっとグミに近づいた
「は、ははは、はああ、はい!」
突然、知らない男の子から声をかけられた恥ずかしがり屋なグミは当然、慌てていた
「あの服なんかすっごいカッコいいよ!君、すごいね!」
それで顔を真っ赤にしたグミを、私が見逃すはずはなく、すぐに助けに入る
そして、その場をアイツにはさっさといなくなってもらった
「さっきの人……リンちゃんの彼氏?」
「はあ?違う違う、アイツは私の双子の兄。顔、似てたでしょ?」
私は笑いながらそういうと
「ううん……恥ずかしくて、顔をまともに見れなかった……でも、よかった」
そういって、安心した表情を見せるグミ
「よかったって……何が?」
「ううん!な、なんでもないの!そう……なんでも」
そういうグミの頬は赤く染まっていて、かすかに微笑んでいた
そう……純粋すぎるグミはアイツの【君、すごいね!】という、ただそれだけでアイツに惚れてしまったのだった
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コメント2
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ご意見・ご感想
イズミ草
ご意見・ご感想
おおおお!!!
イケレン!!!
レンくん、くそう、罪な男よww
2013/12/25 19:32:28
しるる
そです、罪な男ですww
それ、意外にだいじなキーワードですw
2013/12/25 20:01:28
Turndog~ターンドッグ~
ご意見・ご感想
ホント恋のきっかけはあっさりしてますよねー
自分の初恋は相手の境遇が過去の自分を想起したからだったりw
2013/12/25 11:44:10
しるる
気が付いたらっていうのが大体な気がしますよね
だから、自分で恋しよう!っておもうわけじゃないから、恋は盲目で、恋は麻薬なんだと思う
2013/12/25 18:07:33