悪の女王は死んだ。
私たちが殺した。狂った悪魔は最期まで笑って、私は彼女を憎み切った。
彼女は泣きもせず、、騒ぎもせず、絵に書いたような悪だった。

その悪魔の死体は服を脱がせようとした瞬間爆発した。
脱がせた部下とその近くにいた二人が死んだ。

何故?
彼女の死体は粉々に砕けた。
彼女の遺書も見つかっていない。
日記さえない。
彼女に影武者が居たなんて聞いていないし、そもそも彼女が逃げる場所なんて無い。
カイト皇子もあれは女王だったと言い切った。
見た目、背丈、声、匂い、全て記憶にある女王だった、と。



ならなぜ処刑されてから爆破する必要がある。
そもそも捕まったフリなら牢屋に入る前に爆破すればいい。
処刑されることに何の意味があるっていうの?


処刑の意味は民に勇気を与えること。


それを行わせる意味なんて…どこにあるっていうのよ!
かといって、そもそも生きているかもわからない女王を探す余裕はこの国には残っていない。
答えは闇の中。


「ぷはー!なんなのよ!まったく!もう一杯!」
「駄目ですよ。いくらメイコさんでも何本も城のお酒あけたら略奪だ。これは国民に配るんでしょう。」
「うぅー。…そうね。でももう一本だけ。私の分の小麦はなしでいいから!」
「しかたないなぁ。」

城の備蓄は全て民に解放し、配給を行う。
当面の飢饉対策だ。
幸い今年は豊作が望めそうらしいのでなんとか持つだろう。

国は根本的に変わらねばならない。
王なんてばかげた存在はいらない。
国は民が作るべきだ。
賢い民は沢山いる。三人よれば文殊の知恵。
私達は民による政治を行うのだ。
経済は商人が、農業は農民が、自治する。
そのためにはやらなければならないことが沢山ある。
リーダーは必要だし、話し合いの場だって必要だ。



私達は女王なんて過去にこだわっていられない。





この間町で芸人らしい男が歌っていた。

悪ノ娘の歌。
よくできた童歌。
私達のしる事実。




これが真実かどうかなんて、私はしることさえできないのだ。



どうにももどかしいわだかまり。
せっかく復讐を果し、未来は希望で満ちあふれているというのに。



私の脳裏には、狂ってると吐き捨てた私に向かってほんの少し見せた女王の笑顔だけがいやに鮮明に焼き付いていた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【後日譚】悪ノ物語。赤ノ疑問【悪ノ召使独自解釈小説】

悪ノ召使のあくまでも偏見による独自解釈の二次創作です。
あくまでも一つの妄想ストーリーとしてお楽しみください。
出来るだけ美化しないように書いているつもりです。
また、作品としては人間らしく汚くて、綺麗で、もがいて苦しんでいる彼らの様が伝わればうれしいです。
レン視点で進めているのでレンが知り得る事しかかけていません。事象は矛盾しないようにしていますが、感情は矛盾だらけで沢山彼が苦しみます。
なお、時代背景はファンタジーではありますが、なまじそれっぽい(歴史っぽい)流れがあります。作者の不勉強故、おい、おかしいよ!という部分はあるとは思いますが流してやってください。すみません。

文章にかんするご意見、ご感想はいただけると糧になります。

閲覧数:927

投稿日:2009/02/05 12:12:40

文字数:976文字

カテゴリ:小説

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