この県立明律高校に入学して二日目。
私、鏡音リンは中庭の一角で読書にふけっていた。
読んでいるのは桜庭一樹氏のGOSICKという本だ。

私は小学生のころからサスペンス系統の小説が好きだった。
周りのみんなが魔法だとかファンタジーとか言って興奮しているとき、私は密室トリックや人間のエゴに目を輝かせていたのだ。

入学式から二日目、という事もあり、学校は午前中で終わった。
生徒がたわいも無い話をしながら通り過ぎていく。

仲間なんて、友達なんて、
くだらない。






               ~孤独な少女は夢を見るか?~
                「第一話 すべての始まり」







 
この明律高校は、私の実家から電車で一時間程度かかる遠い学校だ。
なぜこの学校を選んだのかというと、ただ単に中学校までの人たちと別れたかったからだ。
そして自分のキャラを脱ぎ捨て、新たな人生を踏み出す。
所謂、「高校デビュー」というやつだ。

しかし、私は結局何も変わっていない。
まだ学校が始まって二日しかたっていないが、このペースでは確実に昔と何も変わらない生活になるのは明白だ。

「・・・・・」
もう本を読む気も失せた。
もう帰ろうか・・・
私は本にしおりを挟んで閉じ、まだ真新しい鞄にしまった。
鞄を持ち直し、私は学校を後にしようと校門のほうに向かった。

「ねえ、そういう本好きなの?」

誰かに話しかけられた。
突然の事だったので、私はパニックになってしまった。

「す、すみません!」

私は自分でも何言ってんのよと思いながら全速力で校門のほうに走った。
校門の方まで走ってから、とてつもなく後悔した。
さっそく、高校デビューが失敗しそうだ。(したかもしれない)
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「・・・ただいま~」

「にゃ~」

猫のアスモデウスが出迎えてくれる。
私の家は自慢ではないがお金持ちだ。
私が「明律高校に行く」と言ったらお母さんが、

「リンをあんな汚らわしい電車のシートに座らせるの嫌だから、マンション借りてそこに住みなさい。生活費は出すから」

と言ったのでお言葉に甘えて学校から歩いて8分程度のマンションに住んでいる。
私が好きで家で飼っていたペット達

・アスモデウス(猫)
・ベルフェゴール(ウーパールーパー)
・ルシファー(クサガメ)

もいっしょにここに住んでいる。
名前に関してよく質問されるが、別に厨二というわけでは(ry
むしろ、私はお父さんもお母さんも嫌いなので一人暮らしができて好都合だ。


アスモデウスの飲み水を換えて、テレビをつける。
入学して2日目では、主な授業もなかったので、勉強する必要が無い。
することがない・・・
・・・zzzz


目を覚ますと、窓の外は夜の闇に閉ざされていた。
時計を見る。19時12分。

昨日作り置きしておいた煮物を取り出し、台所の戸棚にある缶詰を適当に開け、ゴハンを済ます。
疲れたので、布団を敷いて寝ることにする。
お風呂は明日入ればいいし。
しばらくして、アスモデウスたちにゴハンをあげてないことに気づく。

アスモデウス達にごはんをあげ、今度こそ寝ることにする。
・・・zzz
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昨日寝すぎたせいか、4時半に目が覚めた。
適当に食事を済ませ、お風呂に入ったりしてるうちに学校に行かないといけない時間になっている。
洗面所の鏡でリボンや髪を整え、学校に向かう。

下駄箱に着いたところで、昨日の出来事を思い出した。
あの人、どうしたんだろう・・・

まあ、過ぎた事はしょうがない。

「あ! 昨日の子だよね!話きいてえ~!!」

振り向くと、いかにも明るそうなオーラを放つ、緑色の髪をツインテールにした子が立っていた。
私がとっさの事に動揺していると、彼女が再び口を開く。

「ねえねえ、いっしょに探偵部入らない?」


ばかばかしい。
そう思っていた。

けどこれが、すべての始まりだった。













ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

孤独な少女は夢を見るか? 第一話 「すべての始まり」

新シリーズです
(おい早く他のシリーズ完結させろよ)

初めてサスペンスに挑戦!
生暖かい目で見てください!

閲覧数:298

投稿日:2012/05/12 00:47:25

文字数:1,902文字

カテゴリ:小説

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