①
ゆっくりと 霧がこの世界を飲み干している
静かな泉の畔で
あなたと口付け 交わした
鈴の旋律が 虫を通し哀しそうに響いて
花々を連れ 泉に落ちてく
それは色を沈め
ゆっくりと川に流れ沿っていく
あなたは 抱き寄せた手を 離しながら言うのよ
全ての流れに僕と君は結ばれる運命だと
そう強く呟いたの
それが最後の言葉
②
祈りの日々の中 報せは届いてきたの
海にひそめる岩礁に
あの船の姿に似てた 残骸の形 を見たという言伝を
遠くの海では 嵐ばかりあるのだと
この泉では 雲ひとつ無い夜空が 広がってるのに
月明かりの中
不安は星々に溶かして
声を風に流し
そして水に響きを伝えるの
私は祈る
あの人が無事でいる様にと
③
哀れみをも誘う
花びらが散らす中で
神々に願うように 泉に手を浸した
古の律を全てに向かって謳い続ける
風よ 届けてたもれ
水よ 彼を護りたまえ
月陽よ この声 時の狭間へ刻みたまえ
その時 光が泉から溢れだして
その刹那 嗚呼 私は感じたの
祈りが届いた事を
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読み:
畔(ホトリ)
運命(サダメ)
古(イニシエ)
律(ウタ)
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