夢が見せる場所は、蒸気船と呼ばれる乗り物の甲板上であった。広大な海を走る、その蒸気船に乗った3人の男女たちが会話している。

「なあ、イルヴァルス大陸にバーバレラの仲間がいるんだろ?」

「そうだよガイア。あの大陸にある、フォレスタキングダムっていう国にロアって名前のツレが居るんだよ」

「そのロアってヒトが、クリムゾン・ジークレフの持ち主なんだね?」

「そう。ちょっと熱苦しいヤツだけど、頼りになる騎士の男さ」

「なんかマジで、ロープレみたいな展開だなクリス」

「ロープレだといいさ。僕たちのする旅がロープレだとね」

「ちょっと話割って悪いんだけどさ。あんたたちにお願いがあるんだ……」

「どうしたんだい?」

「あのさ、あんたたちにも子どもが居るだろう?。でさ、その子たちに私の息子と友だちになってほしいんだよ。無理にとは言わないからさ……。ほら、ウチの子…あんな感じで引きこもりがちだから…うまく友だちができないし……」

「ぜんぜん良いぜ。まだ小さいけど2人セットで、フーガくんの友だちだ」

「僕も歓迎するよ。彼の優しさは、ヒトより純粋だからね」

「本当かい? そう言って貰えるなら私は嬉しいよ。自分にも責任があるとわかってる。妹と絶縁してまで血の掟を破っちまったから、そのツケが子どもに回ってしまったことをさ……」

「バーバレラ。俺と親友はよ、そんなしょうも無い掟なんか気にしねぇんだぜ」

「そうさ。ガイアの言うとおり、僕たちは生まれてきた命に罪はないって考えているからね。それにバーバレラ、君は大切な仲間なんだ」

「ありがとう…2人とも……。私は、あんたたちみたいなヒトと仲間になれてよかったよ……」

「泣くなよ…ブラムの帝王なんだろ……」

 ジークレフが記憶する先人たちの絆は、後に次の世代へと引き継がれていく。
 後に彼らは、愛する我が子たちへ絆を託し、この会話のなかで次なる目的地の名をイルヴァルス大陸と示した。

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投稿日:2020/01/11 02:23:33

文字数:829文字

カテゴリ:小説

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