月下膿爛のカンタータ


咲かずに摘み取る百合の花
崩れ落ちる残骸　罪深く
憎悪に塗れた微笑みが
真白い首筋に手を這わす

イカナイデヨアナタヲアイシテイルノ
キズダラケノテアシヲナゾッテ
ナガレオチルノウズイコノテデスクイ
イマデモスキダトササヤクノ

触れて抱いてどうか
過ちを拭い去って
共に堕ちて沈む
捩れた愛の憧憬
夜に紛れどうか
この罪を明かさないで
懺悔　朽ちて爛れ
酷く奇怪なカンタータ


闇夜に照る月　ほの甘く
薫り立った果実は熟れ過ぎた
均衡を保ち軋む骨
絡み付いた荊の愛撫を

コノカラダモココロモアナタノモノヨ
ウスヨゴレタニクカイステタラ
トワノアイヲヤクソクシテホシイダケ
ヤクソクシテホシカッタダケ

溶けて混ざり濁る
その瞬間を浮かべて
恋に腐る傷も
快感に変わってゆく
どんな嘘も全て
許してしまえたならば
こんな最期なんて
迎えずにすんだのかもね


ウツロエルハナワミニクククチクズレ
キミョウナムクロツキニサラシテ
カタラレズニノミコムモノガタリコソ
アァ…ナニヨリタイセツダッタ

欲しいものを全て
手に入れる為の犠牲
やがてそれに意味が
無いと知らされるのなら
どうか　ドウカ　どうか
この罪を暴かないで
とうに息は途絶え
響く歪なカンタータ


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さかずにつみとる　ゆりのはな
くず　れおちるざんがい　つみぶかく
ぞうおにまみれた　ほほえみが
まし　ろいくび　すじに　てをはわす

いか　ないでよ　あなたを　あいしているの
きず　だらけの　てあしを　なぞおて
なが　れおちる　のうずい　このてですくい
いま　でもすき　だとささ　やくの

ふれて　だいて　どうか
あや　まちをぬぐいさあて
ともに　おちて　しずむ
よじ　れたあいのしょうけい
よるに　まぎれ　どうか
この　つみをあかさないで
ざんげ　くちて　ただれ
ひど　くきかいな　かんたあた


やみよにてるつき　ほのあまく
かお　りたあたかじつは　うれすぎた
きんこうをたもち　きしむほね
から　みついた　いばら　のあいぶを

この　からだも　こころも　あなたのものよ
うす　よごれた　にくかい　すてたら
とわ　のあいを　やくそく　してほしいだけ
やく　そくして　ほしかあ　ただけ

とけて　まざり　にごる
その　しゅんかんをうかべて
こいに　くさる　きずも
かい　かんにかわあてゆく
どんな　うそも　すべて
ゆる　してしまえたならば
こんな　さいご　なんて
むか　えずにすん　だのかもね


うつ　ろえるは　なわみに　くくくちくずれ
きみょ　うなむく　ろつきに　さらして
かた　られずに　のみこむ　ものがたりこそ
ああ　なにより　たいせつ　だあた

ほしい　ものを　すべて
てに　いれるためのぎせい
やがて　それに　いみが
ない　としらされるのなら
どうか　どうか　どうか
この　つみをあばかないで
とうに　いきは　とだえ
ひび　くいびつな　かんたあた