『夏休みの宿題』
1-A
むせ返る8月の 草いきれの中で
立ち上る陽炎を 追いかけていた
1-A'
電車の吊革を 初めて掴めた日は
誇らしくて何でも できる気がした
1-B
僕はあの頃に描いた 未来に立って
大きくなった掌に 何を掴む?
1-C
永遠に終わらないと思っていた 夏休みの果てに
やり残した宿題抱え 途方に暮れた
いつから物分かりがいいだけの 大人になってしまった?
やりきれない宿題 今も抱えたまま
2-A
空地の隅ゴロンと 寝転がっていた午後
逆さまに降る雨に 慌てて起きる
2-A'
泥だらけで帰って 目を丸くした母に
怒られてシュンとした 夜のひまわり
2-B
あの日の母が本当は 怒っていなかったと
大人になって今やっと 気が付いたよ
2-C
どこまでも続いていると思っていた あの長い坂道が
自転車一息の距離になったのはいつ?
立ち止まることもなく駆け抜けた 傷だらけの足は
ブレーキばかりで次へと踏み出せない
3-C
玄関に放り投げて飛び出した 放課後のランドセル
小さな掌で抱えきれないほど
たくさんの夢であふれていたね どんなに傷ついても
今でもあの日の輝き忘れぬまま
3-C'
あの頃の僕からの宿題は とても難しいから
夏休みだけじゃ終わらないけど愛しい
ランドセルで輝いていた夢の 形は変わっても
大きくなった掌で掴まえるよ
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