コレカラの唄
貴方に一つ言いたい事があった
ただ一つ、言いたいだけだったのに
その一言を言うことが出来なかった
言いたくて、言えなくて、逃げ出した
そんな私を見て、貴方はどう思ったのだろうか
その想いを、私は知らない・・・・・・
はぁー・・・・・
何度目かわからないが、また溜め息をついてしまう。
何でこんなことを私はしているのだろうか。
家の中で、一人寂しくベットで転がる。
私はただ彼へと、彼に一足早い誕生日の言葉を・・・言葉を言いたいだけだったはずなのに・・・。
だけど、いざ彼の前に出てみるとその言葉を出す前に何故だかとても恥ずかしくなってしまって、体が火照ってしまって何も言えなくなってしまう自分がいた。
どうしてだかは分からない。
でも、でも、告げることができなくなってしまったのだ。
そうして私は、何も知らずに戸惑う彼の前から
逃げ出してしまったんだ。
・・・今述べたことが、私が転校する一週間前の出来事だったりする。
理由は、父親の転勤。
なんてありきたりな理由なのだろうかと本当に思う・・・ありきたりすぎる!!
・・・・・・でも、それを変えることなんて私にはできなかった。
家族は私にとってとても大切な存在で、その家族と離れることなんてできないんだから・・・。
だから私は最後だけれど、いや最後だからこそ彼にありがとうと言いたかった。
幼馴染であり、なんかすごく早く無駄になってしまったけれど・・・一緒の高校に入るために勉強を教えてくれたり・・・近所ということもあり・・・私生活でもお世話になった彼に・・・後から届く手紙なんかではなく今、思い浮かぶような自分自身の思いを・・・・・・
・・・・・・伝えたかったのだ。
本当に。
それから彼には会っていない。
逃げてしまった事実は今更変えることなどできなくて、それが自分の思いに逃げ場を作り出す。
いっそのこと・・・・・・「このまま終わってしまってもいいかな」・・・・・・とまで思ってしまっていた。
そんなことを思う私自身に嫌気がさしたが、そう思っているのも又私だ。
なんていうことはない、ただそれだけのことが・・・・・・辛かった・・・・・・
いくら虚勢を張っても、両方とも自分自身の心。
自分の心を弄りつくしてくる・・・悩みたち・・・。
これらとは・・・切れない仲だよ・・・・・・
そして、この町で過ごす最後の晩がやってきた。
私は、町全体を見渡すことができる高台に上ってただその風景を見つめていた。
その景色・・・星空と、その下で同じくらいきらびやかに輝く街の光の数々。
それらはいつもと変わらずキレイで、この景色を見ることができなくなるのはやっぱり悲しかった。
そして、彼と会うことができなくなるなんてもっと・・・・・・
「なにしてるんだよ、こんな時間に」
「・・・えっ!?」
寝ころぶ私を覗き込むようにして、彼が私のすぐ傍へと来ていた。
驚き、顔が少し紅くなるのに驚いている間に隣りへと座り込む。
「あ・・・貴方こそなにしているの・・・いつもなら眠っている時間でしょ?」
違う、そんなことを私は言いたかったんじゃない。
私が言いたかったのはもっと違うこと・・・でも頭が動転してうまく言葉が出てこない・・・。
「ああ、今日はそんなに眠くならないから・・・心に引っかかったこともあったし。それよりも・・・明日出発なんだろ?こんな所にいても大丈夫なのか?」
何もわからないように彼は、私を見つめ返す。
そのことに安堵しながら、同時に少し悲しくなる。私の心って・・・・・・はぁ。
「う、うんまあね。もう支度は終わっているし、今日でこの風景も見納めだから・・・」
「そうか・・・・・・」
そう言って、彼は黙りこくってしまった。
そして私も何も言うことができずにその姿、今までずっと追い続けてきたその後ろ姿を見ていた。
いつから私は、この姿に心ひかれていたのだろう・・・ほんの近所の知り合いだったは
「なあ」
「・・・えっあっ・・・な、何!?」
いつの間にか、彼が私を覗き込む。・・・なんだか不安げ?
「・・・・・・お前今なんか悩んでないか?・・・そんな顔するってことは悩んでいるんだろ。何でもいい、俺に言ってみろよ。この通り、ちょっとは楽になるかもしれないぜ」
「・・・えっ!?」
・・・これだから彼はずるい。一番言ってほしい一言を、一番言って欲しいときに言ってくる。
だから私はいつまでも彼に頼って・・・・・・・。
そんな風に考えこむ私の表情からどういう風に解釈したかは分からないが、彼が一つの話を持ち出してくる。
「・・・なあ、考えたてみたことがあるか?この輝く星空について」
「・・・えっ?」
「まあ、黙っていて・・・俺はこう考えた。この星たちは、人の悩みや苦悩では無いのかなってな。この世に無数の人がいてさ、それはみんなみんなそれぞれの悩みを持っていたりする。でさ、その悩みから解き放たれたら、そこにあった星が一つ流れるっていうただそれだけの話なんだけれどさ」
「・・・・・・」
なんか私の意見とはちょっとだけ違う・・・でも、なんだかわかるような気もする。
言いよどむ私に構わず、彼は続ける。
「そう思ったら、なんか世界が変わって見えてこないか?・・・まあ、ちょっとマイナス思考かもしれないけれど」
そうやって笑う彼の表情は、どこもマイナス思考のように聞こえない。
むしろ自信を持って考えている、そう私に思わせた。
「だから俺はよく、この星空を見上げるんだ。今こうして何気なく過ごしている中で誰かが幸せになっているのだろうか、と願いながら」
まあ、単なるエゴかもしれないけれどな、そう言い結んで彼は優しく微笑んだ。
「・・・あの、私からも話があるんだけれど」
「・・・ふふ、言ってごらん?」
その、笑顔に誘われるかのように、自分は、言葉を紡いでいた。
「誕生日、一足早くなっちゃったけれどおめでとう。・・・それだけを、それだけを言いたかったはずなのにね、なんでこんなに遠回りしちゃったんだろう・・・」
自分で決めて言いだしたはずなのに、少しずつ言葉が少なくなっていってしまう。
それを聞きながら、彼は優しく声をかけてくれる。
「そんなことないよ、本当に。・・・・・・・嬉しいよ、今年も覚えていてくれたんだな。俺はてっきり避けられているものかと・・・」
そんなこと無いよ、私はそう言って本当に言いたかった言葉を口にする。
「あの・・ありがとう今まで・・・共にいてくれて・・。今まで生きた中で、そしてこれから生きる中での本当にちっぽけな時間だったけれど貴方と出会えて良かった。ここで別れるのは悲しいけど、別れは新しい出会いだから言わせて、ありがとう・・・ありがとう・・・自分の傍にいてくれて。ありがとう・・・ありがとう・・・そして・・・・・・」
笑ってそう言おうとしたのに、何故か視線は下を向いって行ってしまう。
そして最後にいおうとした「さよなら」を彼はちょっと困った顔をして遮った。
「待った!!じゃあ・・・最後の前に俺も言っとくかな・・・・・・・俺はお前のことが」
ス キ ダ
そう聞こえた。
「えっあっ!?な、なんて今?」
「好きって言っただけなんだが・・・いやだったか?だったら忘れ」
そう言いながら離れようとした彼をつい呼びとめてしまう。
「そ、そんなことな」
突然口をふさがれ、顔が近付く・・・
・・・!?えっちょっと待って今の・・・・・・・・顔が赤くなっているのが自分でも良く分かる。
「俺はいつまでもここにいるから・・・また会おうな、いつの日にかこの場所で。お互いに笑って・・・な?会おう」
そう言って彼は彼自身も赤くなった顔を隠すように空を見上げた。私もつられるようにして夜空を見上げた。
その瞬間、見計らったように星が一つ流れおちた・・・・・・なんてそんな甘いことはなかったけれど。
「・・・私も、最後に伝えたい思いがあるんだ」
静かに、笑って私は彼に言う。
「貴方に対しての私の意見、伝えておきたい・・・」
そう言って、言葉を待たずに彼へと飛びついた・・・。
君から届いた思いは、君の考えと合うのだろうか?
君へと話した思いは、君との想いとなっただろうか?
私はどちらでも構わない。でもやっぱりあっていると嬉しいとかはダメかな?
たとえ離れても、またいつかつながることはできる。
だから、今はさようなら愛しい人。
そう言って別れた朝、眠い目をこすりながら私はこの場所を旅立った。
夜更かしをして見た街並みはやはりとても美しく、でも今度は悲しみをあまり感じなかった。
ずっとこの場所にいる、彼のその思いにコレカラを思い描きながら・・・私は旅立った。
晴れ渡った空には、星が映ることはない。
でも、そんなところにも喜び(ホシ)はあるんだろう。
再うp 小説「コレカラヘノ唄」
えっと・・・間違って消してしまったので再うpです。特に内容は変わってません。
これより生まれた歌詞。
http://piapro.jp/content/9f5thrtwtqbtp1ql
これの続き誰か考えてくれたら嬉しいなぁなんて・・・
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