さて、ちょうどその頃のお城では、パーティーが盛り上がりを見せているところでした。
「きゃあ、あの方が王子様よ!」
「かっこいいわ!あ!今私のほうを見たわよ!目が合った!」
「何言ってるのよ!私を見たに決まってるでしょ!」
「こっち見てー!マフラー王子!」
パーティーの主役である王子の登場で、会場の女子たちは韓流スターの出迎えさながらに騒いでいました。
その中には、シンデレラの二人のお姉さんもいました。
「王子は今夜、誰と踊るのかしら?」
「やっぱり私のように美しい娘と踊るのでしょうね」
「あんた年下のくせにでしゃばってんじゃないわよ」
そんな女子たちの会話をよそに、マフラー王子はとても気後れしていました。
王子はパーティーなどのにぎやかな場所は苦手だったのです。
王子は、誰とも踊るつもりはありませんでした。

パーティーも終盤に近づいた頃、王子はほとほと困り果てていました。
シンデレラの姉たちに、執拗にダンスに誘われていたのです。
あまりにもしつこいので、どちらか一人と踊ろうかと思ったときでした。
長くつややかな髪に、誰のものよりも輝くドレス、少し幼さが残る顔立ちの美しい少女がおずおずと会場に入ってきたのです。
それはもちろん、シンデレラでした。
ロードローラーに振り回されて気分の悪くなったシンデレラは、お城についたものの全く歩けず、少し休憩していたせいで会場に入るのが遅れていたのです。
シンデレラは広々とした会場と、絢爛な食事、きらびやかな人達に心奪われていました。
シンデレラは、パーティーに出られただけでも幸せでした。
華やかな雰囲気に目を奪われていたシンデレラは、近づいてくる人影に気づきませんでした。

「僕と踊ってくれませんか?」
振り向いたシンデレラはとても驚きました。
そこには、あのマフラー王子が膝をついて手を差し伸べていたからです。
シンデレラは遠慮がちに王子の手を取り、二人はゆっくりと踊り始めました。

それから二人はしばらくの間、楽しくすごしました。
お話をしたり、食事をしたり、ネギを育てたり・・・
シンデレラはこのまま時が止まってしまえばいいのに。と思っていました。
なぜなら、黄色い女の子に魔法をかけてもらったとき、一つの忠告を受けたからです。
『十二時の鐘がなったら、魔法が解けちゃうんだよ。だからそれまでに戻ってきてね』

シンデレラが王子にネギについて語っていると、鐘がなりました。
「あぁ!もう十二時だわ!早く戻らなければ!」
そう言って、シンデレラはドレスをたくし上げて階段を下りていきました。
「待って!僕は君にアイスについて語りたいんだ!」
呼び止める王子にも振り向かずに、シンデレラはロードローラーに乗り、去っていってしまいました。

肩を落としてお城に戻ろうとしたとき、王子は階段にある落し物を見つけました。
「これは・・・!」
次の日、王子はその落し物手がかりに、パーティーで一緒に過ごした美しい少女を探すよう、家臣に命じました。
「この落し物が似合う娘を探せ!!」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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ミクかぶり2

閲覧数:159

投稿日:2009/03/17 22:58:13

文字数:1,269文字

カテゴリ:小説

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