・・・開眼せよ。
今こそ、目覚めの時。
無限の“歌”の使者、ボーカロイドよ。
・・・・・・・・・・開け心・・・・・・・・・・
鳥のさえずりが聞こえる、静かな早朝。
誰もいない海に面した砂浜に、4人の使者がたたずんでいた。
海の音を聞きながら、4人は目を閉じたまま。
桃色の髪の一人の使者が、ゆっくりと口をあけた。
「・・・・・・・・覚醒セヨ」
4人が小鳥のさえずりがやんだ瞬間、ゆっくりと目を開ける。
緑の使者、初音ミク
黄色の使者、鏡音リン・レン
桃色の使者、巡音ルカ
4人はそれぞれに足を踏み出す。
海の前にある、小さな一軒家に向かう。
緑の使者はまっすぐ前を見
黄色の使者は手をつなぎ
桃色の使者は口を閉じたまま
再び聞こえ始めてきた鳥のさえずりを体に受けながら歩き続ける。
・・・・・・歌を、届けよ。
その声はボーカロイドたちの心の中でつぶやく。
「・・・仰セノママニ」
4人はつぶやくと、
静かに口元で笑みを浮かべた。
ゆっくりと瞬きをし、
ボーカロイドという枷を外し
『人間』のように、走り出した。
マスターと出会う瞬間、
彼女らは“歌”という力を取り戻す。
・・・風となり、大地となれ
・・・・・・開け、心。
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