午前8時18分
「遅刻だ遅刻だ遅刻だーーーーーー!!!!」
そう叫びながら道を走る美少女(自称)。朝の陽光が私の銀色の髪を照らす。

午前8時21分 2年O組
「さー、授業始めるぞー。」
少し頭の薄い小太りの担任が朝のHRを始めようと出席をとる。
「浅井ー。井上ー。鵜飼ー。榎本ー。」
呼ばれて返事をする生徒たちは今日も元気そうだ。
「えー次は、、、音なs」
「ハイハイハイハイハイハイハイ!!!!ギリギリセーフ!」
みんな呆れ顔で彼女を見ている。
「いつも言っているだろう。ギリギリじゃなくて常に余裕を持って行動しろと。」
「ハーイ!」
「こう言う時だけは元気がいいんだな。弱音ハクはw」
「私の名前は弱音ハクじゃなくて音無。音無 白南(オトナシ シロナ)よ。いい加減にして。」
弱音ハクは彼女のあだ名だ。
いっつも弱音ばっかり吐いてるから弱音。白南の白を取ってハク。
いつのまにかその二つが合わさって弱音ハクだ。
「ハク~。おはよ~。」
「あ、ネル。あんたが起きるなんて珍しいわね。」
「うにゅ~。」
ネルと呼ばれた少女の名は亞北ネル、、、ではなく秋田 音流(アキタ オンル)
飽きっぽい性格からと苗字を文字って亞北。よく寝てるからネル、、、ではなくオンルを私が読み間違えただけだ。
こいつはオレンジの髪がとっても似合ってる。
「えー、以上でHRを終わる。」
号令が掛かる。あわてて立ち上がる二人。


午後12時40分 中庭

「オベントだー!!!」
「あんた元気がいいのね。授業中もそのくらいの勢いで起きてなさいよ。」
「馬鹿ねー。お昼は特別よ~。」
「おー二人とも。相変わらず男っ気がねーなー。」
後ろから聞きなれた声が聞こえる。
「あ!本音先輩!!」
「なんだ、兄貴か。」
「なんだとはなんだ。お前の素晴らしき兄貴。本音デルこと音無 悌流(テイル)様だぞ!」
こいつは私の兄貴。本音デルってのはあだ名だ。嘘を付かなくいつも本音で語るというカッコいいことを素でおこなっていることから本音らしい。
デルは昔、自分の名前を書いたとき字が汚くて『ている』の『い』が小さくなって濁点に見えたことからデルというのが理由らしい。
「先輩はどうしたんですか~?こんなところで?」
「うちのクラスのカイトとメイコと隣のクラスのキクちゃんとここで弁当を食べようと思ってな。」
「キクちゃんって、、、学校の闇のアイドルの?」
「闇というな!彼女は俺にとって光り輝いているんだ!」
キクとは菊里 貞世(キクザト サダヨ)のことだ。この学校の闇のアイドルと言われている。
何故闇かというと彼女は大のオカルト好きなのだ。
なのでルックスはよくてもあまり人が近寄らない。
ちなみに光のアイドルはメイコ姉さんこと一色 芽衣子(イッシキ メイコ)。美人でスタイル抜群。男女問わず人気がある彼女はまさに光と言っていいだろう。
「おーいたいた。場所とりご苦労!」
爽やかな声がした。
「おうカイト!女の子方はまだなのか?」
「ああ、先に手を洗ってくるってさ。」
カイトさんは本名を風雅 海人(フウガ カイト)と言う。
アイスを愛す(洒落じゃない)爽やかな好青年で兄貴の唯一無二の親友だ。
初夏なのにマフラーのように長い青いスカーフを付けている。冬はコレが同じようなマフラーに変わる。
「二人とも!来てやったわよ!」
元気のいい声はメイコさんだ。その横にはキクさんがいる。
二人並ぶととても絵になる。
「今日はお誘いありがとう。」
「例なら俺やメイコじゃなくてデルに言ってくれ。キクちゃんを誘おうって言ったのはこいつなんだぜ。」
「そうなの?嬉しいわ。ありがとう。」
「いや、、、あはは、、、」
顎の下辺りをかく兄貴。兄貴が照れてるときの癖だ。
とりあえず邪魔者は退散させていただこう。



3時25分

「、、、では今日の授業は以上だ。」
挨拶を済ますと一斉に出て行く生徒たち。
「ネルー。今日どうする?帰りにどっかよってく?」
やっと帰れることを喜んでいるネルを見る。
「ん~、、、歌の練習しない?」
私たちは今、ある動画共有サイトに自分たちが歌った歌を投稿するために練習している。
「そうだね、じゃあ帰ったらすぐ準備してネルの家に行くよ。」
「うん、待ってるよ!」
早くネルの家に行きたいがため走る私。
私は陸上部から熱心な勧誘がくるくらい足が速い。
全速力で走る。そこの角を曲がればもう家はすぐそこだ。
「あっっ!!!」
女の子がいきなり現れた。ヤバイ、ぶつかる!
そう思った瞬間、体が制動距離0で止まる。
「へ?」
なんとも間抜けな声が出てしまった。
物理が苦手な私でも慣性位は知っている。
「あなたに用件を伝えにきた。」
「ひょへ?」
しかもその女の子が私に用があるというのでなおさら驚きだ。
「えっと、、、、どちら様?」
「そうね、あなたにはそこから話さなければいけないわね。」

なんでも彼女、、、名前をミクと言うらしいのだがミクが言うには私はアンドロイドであるとのこと。
「んで、何でまた私がそのSFじみた存在なわけ?」
「あなたは組織から逃げ出した。」
「何でまた?」
「度重なる実験から逃れるため。」
この子に感情はあるのか?随分冷淡な喋り方だ。
「ふーん、、、で、何で私がアンドロイドだって伝えに来たわけ?私を連れ戻すため?」
「半分はあっている。」
「半分?」
「あなたは三時間後に死ぬの。初期段階でのプログラミングミスで。」
「、、、は?」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

止まるな心臓(モーター) 前編

ハクが主人公という小説。
この話を思いついたとき降りるべき駅を華麗にスルーしていた。
長くても3話で完結予定。

閲覧数:476

投稿日:2008/06/21 23:22:10

文字数:2,273文字

カテゴリ:その他

クリップボードにコピーしました