<クロスリンク・プロブレム ミクの試練! 第4話 侮蔑の悪魔・後編>

(舗装劇場・廊下(異空間))

ミクは、眉間にしわを寄せて、じっとベルゼブブを睨み付けていた。

ミク:こっちの世界の事だとしても、私の家族に非道なことをしたお前を、私は絶対に許さない!
ベルゼブブ:・・・我々はお前と対峙するために存在している。その態度で大丈夫だ、問題ない。かかってくるがいい
ミク:言われなくても、たたっ斬ってやるわ!!

 蠅の王にして、魔王と呼ばれるベルゼブブは、やはり余裕なのか、言葉に焦りがなく、ひるみもしなかった。

ミク:でっやー!!!!!

 ミクは神威の力と技量を信じて、刀を上段の構えに保ちながら、一気にベルゼブブとの間合いを詰め、後方に振り上げてから、ベルゼブブの真っ正面で、一気に振り下ろした!! 一刀両断の構えである!

 ズバッ!

ミク:やった! 会心のアタリ! 真っ二つよ!

 ブーン!

 それは全く持って“意外な反応”だった。真っ二つになったベルゼブブは、大量の子蠅に分離して、四散し、ミクのかなり前方まで後退してから、全てが合体して、元のベルゼブブに戻ってしまった。

ミク:そ・・・そんな・・・そんなのズルいわ!!!
ベルゼブブ:実戦にズルもなにもないわ。我がだてに“蠅の王”、“魔王”と呼ばれておらぬわけ、わかったか?

ネル:ミク! 落ち着け! さっきとはワケが違う!
ミク:・・・核(コア)があるはず・・・この手のRPGじゃあ、弱点はコアって相場が決まっているのよ!
ベルゼブブ:・・・実戦とゲーム、果たして相違がないと言い切れるかな?
ミク:見たところ、さっきの分離では“子蠅”しかいなかった。ならば“どれかの子蠅”がコアのはず!

ミクは一歩下がって、しっかり足を踏ん張って、そして1つ前にやった“かまいたち”に任せようと思ったのだった。

ベルゼブブ:ほぉ、“下手な鉄砲も数打ちゃ当たる”作戦か
ミク:コアが解らないなら、“全部斬り捨てれば”いいのよ!

 ミクは先ほどの“アスタロート”との戦いほど無茶苦茶ではないように、刀を振り回した。同じように、自動発射しホーミングし回避不可能の「かまいたち」を、無数に刀から発射した!

ベルゼブブ:ふふふ、やってみるがいい

 ミクのかまいたちの数発で、先ほどと同じようにベルゼブブは多数の子蠅に分離し、更にかまいたちは、その子蠅をホーミングしていって、斬り捨てていった!

 シュッ! ズバッ! シュッ! ズバッ!・・・

 ボト・・・ボト・・・

次々に真っ二つにされて、地面に落下していくベルゼブブの子蠅。

ミク:はぁ・・・はぁ・・・どうよ! これならどれかのコアも真っ二つよ!

 しかし、ミクは魔王の本当の怖さを知らなかった。真っ二つにされた子蠅の中から、大量の蛆(うじ)がわき、無数の蛆は再び子蠅になって、斬り捨てられた子蠅の肉体を持って、一カ所に集まり合体していって、いとも簡単に元のベルゼブブへ戻ってしまった。

 ミクはあまりのことに刀で支えながらも膝を突いてしまった。

ミク:そ・・・そんな・・・
ベルゼブブ:人の子の“想像”にそぐい、ゲームとやらの仮想空間で“便利に”設定されたような存在ではないのだよ、現実は。もう解ったと思うが、とりあえず言っておこう。お前の“刀”でも“かまいたち”でも、我は倒せない。そして“コア”もない
ミク:この力では勝てない・・・
ベルゼブブ:私も“防御一辺倒”ではないぞ。例えばこんな事もできる

 ベルゼブブは右手の杖をかざすと、体の一部の子蠅をミクの方へ数匹飛ばし、ミクの真上で停止させた。

ベルゼブブ:消化液だ

 どろ・・・どろ・・・じゅーーーー

ミク:きゃあああ!!!!

 ベルゼブブの子蠅の口から放出されたのは、蠅の消化液だった。ミクは咄嗟に鎧を着ている背中で防御したので、頭部直撃は免れたが、鎧の一部が溶けてしまった!

ベルゼブブ:そして、防御しかできないお前に、こんな事も出来る

 今度はかなり多くの子蠅を分離させて、子蠅が羽ばたく時に出来る風を一点に集中させて、中型の竜巻を発生させて、ミクに直撃させた!

 ビューーーーーン!!!

ミク:きゃああ!!!!!

 竜巻はミクを後方にかなりの速度で吹き飛ばし、ゴロゴロ転がらせてしまった。当然転がっている時にミクは何度も頭部を地面に打ち付けてしまった!

ミク:う・・・・いた・・・・

ネル:ミク!
ハク:大丈夫ですか!?
テト:( ゜ Д ゜!)

 3人の妖精はさすがに心配になったのか、ミクの元に駆け寄った。ミクもかなりのダメージを追ってしまった。

ネル:大丈夫!?
ミク:う・・・さっきとは・・・全然違う・・・人間型に変身できる位・・・強かったのね・・・
ネル:斬り捨てることもできないし、コアもない・・・じっとしていると子蠅の消化液の餌食・・・どうすりゃいいんだ!

ベルゼブブ:ブレイクスルー出来なければ、ここで死ぬだけだ。実にシンプルな答えだよ

ミク:うう・・・情けない・・・あ、あれ? そのパネル、黄緑色に光っているクリスタルがあるのね? どんな力なの?
ネル:え!? ああ、これは、さっきのアスタロートを倒したことで開放された力で、『女神・イシュタル』の力を宿して、悪魔を退魔させた英雄“めぐみ”の力だよ。女神って言うくらいだから、退魔能力と回復能力を持っていると思うけど、能力は・・・え? “サンクチュアリ”・・・つまり、“聖域”だって
ハク:戦闘向けのスキルじゃないわね
テト:σ(・´ω・`*)

ミク:『聖域』・・・聖なる領域・・・私たちに使うなら“回復”っぽいけど・・・!
ネル:なんか、わかったの?
ミク:その力、頂戴!
ネル:え!? でも今は戦闘で・・・
ミク:その力、使えばたぶんアレよ、ベルゼブブは、現実はゲームとか架空の延長ではない、って言ったけど、“コンセプト”が同じなら、応用できるはず!

ネル:わかった、じゃあ、照射するよ!

 カチッ!

 ネルはアスタロートの時と同じように、六亡星のパネルに付いているクリスタルの1つ、“黄緑色のクリスタル”、を輝かせて、光をミクに当てた!

ネル:能力召還! 女神・めぐみ!

 ピカーーーー!!!!

 ネルが当てた光がミクの体をたどった軌跡の通りに、黄緑色のアイドル服を着て、アクセサリーのゴーグルを付けた、若い女性の姿に変わっていた。

ミク:これが・・・女神『めぐみ』の力・・・
ネル:正直、これでどうやって戦うのか解らないけど、さっきも言ったとおり、この能力で使えるスキルは“サンクチュアリ”だけ。回復には使えると思うけど・・・
ミク:道具も使い方次第かもって事よ!
ネル:?
ミク:まずは私の回復に使うわ

 ミクは、ちょうど“噴水”になるように、上に両手をかざして、スキルを唱えた。

ミク:サンクチュアリ!!

 ミクの両手の手のひらから、白く輝く光が放出されると、物理学に反するように、ある程度の高さで上昇を止めて降下してきて、ミクはその光を浴びる事になった。

 パァァァァ

ミク:ああ、気持ちいい! 体力も精神力も回復したみたい!

 その光景をベルゼブブは静観していた。

ベルゼブブ:人の子ものんきなものだな。回復しても同じ事なのに
ミク:さーて、私も気持ちよくなったから、せっかくだ、アンタも気持ちよくさせて上げるわ!
ベルゼブブ:はぁ?

 ミクは何を思ったのか、両手を前に突き出し、手のひらをベルゼブブに向け、スキルを唱えた!

ミク:サンクチュアリ!
ネル:ちょ! ミク! なにやってるんだよ!
ハク:相手を回復してどうするの!

ベルゼブブ:まぁ、もらえるものは貰っておくか

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

クロスリンク・プロブレム ミクの試練! 第4話 侮蔑の悪魔・後編

☆オリジナル作品第13弾である、「クロスリンク・プロブレム ミクの試練!」の第4話です。

☆今回はリンレン編の後編です。戦闘編です。

☆戦闘編と会話編なので、今回は普段通りに書けました。

☆次回はメイコ母さん編になります。

*****

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
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『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

☆あず×ゆず様が、第8作目の部室棟の死神案内娘“テト”を描いて下さいました!。本当に有り難うございます!。
『おいでませ!木之子大学・部室棟へ♪』:http://piapro.jp/content/rsmdr1c3rflgw7hf

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投稿日:2010/12/03 21:22:28

文字数:3,213文字

カテゴリ:小説

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  • nai☆

    nai☆

    ご意見・ご感想

    蝿王、強っ…。

    ほう、ここで“メガミ”の“メグミ”に変身ですな! …って、アイドル姿ですかwww
    でも、ゆうき先生もまさかここでGUMIが女神にされてしまってるとは、夢にも思うまい、てw

    FFだったか、何だったか、しばらくそっち系のRPGやってないから忘れちゃいましたけど、たしか敵に回復魔法をかけてダメージを与えるってのがあって、なるほど、逆転の発想かと妙に納得したものです。
    実生活においても、柔軟な発想でピンチを切り抜けたいものですね。(いつもピンチなnai☆なのさw)

    しかし、ベルゼブブの言う『あの方』ってのが、私的にはなんとなく金星…、いえ、何でもありません。

    2010/12/17 22:25:38

    • enarin

      enarin

      nai☆様、今晩は!

      > 蝿王、強っ…。

      さすがに魔王、相当強いです。威力、戦術、あらゆる面で、本来今のミクでは勝てない位強いわけです。

      > …って、アイドル姿ですかwww

      はい。変身する能力を持っているボカロの意匠を使いたかったので、悪魔の姿よりボカロの姿を優先しました。

      > ゆうき先生もまさかここでGUMIが女神にされてしまってるとは

      小説とはいえ、随分GUMIさんには色々やっていただいていると思ってます。今回は女神ですし。なんか凄く”人間味溢れる女神”だと思います。

      > FFだったか、何だったか

      多少スキルの変更はありましたが、自分達の回復魔法を、ゾンビなどのアンデッドに使うとダメージを与えられる、というネタです。まぁ序盤しか役に立たないんですけどね。今回は切り札になりました。

      > ベルゼブブの言う『あの方』ってのが、私的にはなんとなく金星…

      えっと、初期設定はなんだったっけ、ごそごそ・・・・・、にやり

      このたびのご閲読、コメント、有り難うございます!

      2010/12/18 19:15:56

  • nonta

    nonta

    ご意見・ご感想

    ベルゼブブ、(当たり前ですが)強敵でした。
    しかしミクさんがゲーム経験から得た知恵が役にたちましたか。
    都合よく設定されたゲームと実戦との違いを語っていたのが、ゲーム的知識の欠如から敗れてしまうというのも皮肉でしたw
    まぁベルゼブブがコンピューターゲームしているとことかちょっと想像はつかないですね(´∀`;A)
    そして会話のなかで少しだけ語られた今回の不思議な出来事の真相に興味をひかれます。

    2010/12/04 17:01:11

    • enarin

      enarin

      nonta様、今晩は!

      > 強敵でした

      だてに”魔王”と呼ばれていない(某ゲームではLv99)悪魔でした。というか、2戦目でこんな凄いのを出してしまったので、この先、どんな悪魔を出したらいいか、少し修正しないといけないかも。初期設定はあるのですが、かなり”強くて威厳のある悪魔”でないと、なんか不釣り合いになってしまうので…。

      > ゲーム経験から得た知恵が役にたちましたか

      元々、悪魔戦はファンタジーの領域なので、ゲームの設定が応用できてしまう事が盲点だったのですね。

      > ゲーム的知識の欠如から敗れてしまうというのも皮肉でしたw

      確かに皮肉な結果でしたよね。まさかゲームの知識によって、形勢逆転してしまうとは思ってもいなかったのですね。

      > まぁベルゼブブがコンピューターゲームしているとことかちょっと想像はつかないですね(´∀`;A)

      確かに…。巨大な蠅が多数の手を使ってコントローラーを持って、ピコピコやっている姿はちょっと想像できませんね。あげくに自分が出てくるRPGで自分と戦うシチュだったら、冷や汗出ますよね。まぁ、人間型になる能力があるので、それなら問題ないと思いますが…(´∀`;)

      > そして会話のなかで少しだけ語られた今回の不思議な出来事の真相に興味をひかれます

      今回のベルゼブブが教えてくれた”事件の真相の一部”は、大事な内容でした。”あの方”とはなんなのか? 何故ミクなのか? そして面倒なこんな方法を採らないと本当にだめなのか? 謎はこれから更に深まります。

      しかし、某ゲームでも言ってましたが、”悪魔がこんな設定で生まれてきたモノなら、作ったモノは無慈悲極まりない”、です。ミクの本当の敵は誰なのか? お楽しみを!

      このたびのご閲読、コメント、有り難うございます!

      2010/12/04 20:49:41

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