―私は、孤児だった。
いつ死んでもおかしくない生活。
冬だろうがボロボロの薄着、町の人々からは「汚い」と罵られ、ろくな仕事も見付からない。
でも、そんな私を救ってくれたのは―……
「おいで。私が救ってあげる」
―仙女(フェアリーゴットマザー)だった。
*
それから数年後、私は16歳になった。
フェアリーゴットマザーは、もうすっかり実母のように親しくなっていた。孤児から一転、幸せな普通の生活。
食べ物も盗んだ物じゃない。温かいシチューも食べられる。服も、それなりの物を着れる。布団も、ダンボールなんかじゃない。
そう―全てが普通だった……今日までは。
私は、すっとその大きな建築物を見据える。
絢爛豪華、まさにその言葉を具現化したような建物は、今はより一層輝いて見えた。
私は着慣れないドレスを翻し、馬車を降りた。六頭立ての馬車だ。
真っ白なドレス。髪はドレスと同じ色のリボンでツインテール。
そして―私はドレスの上から、それを握り締めた。
フェアリーゴットマザーから与えられた使命。
(どうして…)
「……おまえは、あの城の舞踏会に潜入して、このナイフで王子を刺し殺すのよ」
―フェアリーゴットマザーは、最初からきっとそれが目的だったんだ。
私は―なんてバカだったんだろう。良家の婦人が私を快く迎え入れてくれること何てあるはずないのに。
―私は、名前の付けられない思いを胸に、城へと赴いた。
サンドリヨン 其の壱
またもや掛け持ち。
サンドリヨンは神曲ですね。
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6.
出来損ない。落ちこぼれ。無能。
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大道芸人や手品師たちが集まる街の広場で、私は毎日歌っていた。
だけど、誰も私の歌なんて聞いてくれなかった。
「...オズと恋するミュータント(後篇)
時給310円
ピノキオPの『恋するミュータント』を聞いて僕が思った事を、物語にしてみました。
同じくピノキオPの『 oz 』、『恋するミュータント』、そして童話『オズの魔法使い』との三つ巴ミックスです。
あろうことか前・後篇あわせて12ページもあるので、どうぞお時間のある時に読んで頂ければ幸いです。
素晴らしき作...オズと恋するミュータント(前篇)
時給310円
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命に嫌われている
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ミ「ふわぁぁ(あくび)。グミちゃ〜ん、おはよぉ……。あれ?グミちゃん?おーいグミちゃん?どこ行ったん……ん?置き手紙?と家の鍵?」
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ミ「用事?ってなんだろ。起こしてく...記憶の歌姫のページ(16歳×16th当日)
漆黒の王子
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