(3)

  何年もの月日がたって、二人は13歳になったころ、王さまとお妃さまがあいついでなくなりました。王さまは死ぬ前に、

 「私の大切な娘の表情が一瞬でも曇る事がないように、もしもその様な事があったら私に刃向かった者として家族もろともみせしめに殺してやるからな」

  と言い残しました。臣下たちは深く深くお辞儀をしてその言葉を聞き、絶対に王さまの言に違う事はしないし、もしもそのような事をするような人があればすぐに家族もろともみせしめに殺してやると誓いました。そうして王さまは安心して死んでいきました。

  盛大なお葬式を執り行いましたが、あまり悲しんだ人はいませんでした。国民のうちの幾らかは、新しい王女さまが誕生したら自分たちの生活ももっと楽になるかもしれないと期待さえしていました。しかし、大抵の人はそんな期待も抱きませんでした。その頃には王女さまが王さまと同じくらい、いやそれ以上に傲慢な娘になっていると評判だったからです。あの、病気になって死んでしまったらしい男の子が生きていればもうちょっと期待したのだけどねと言う人もいました。



  王女さまになった女の子は一番最初に弟を牢屋から出してあげたいと思いました。しかし、王女の周りの人たちはそれとは逆に、レンをこの際だから殺してしまいたいと思っていました。もしも牢屋から出そうだなんて言ったらこっそり殺して、あの時みたいに病気で死んでしまったと嘘を付くかもしれません。そこで王女さまは夜中にこっそりベッドを抜け出して、自分だけで弟を牢屋から出そうと思いました。

  地下の牢屋に来るのは生まれて初めてのことでしたし、途中で何人かに出くわして適当な言い訳をするのもとても大変でした。牢屋の看守には宝石を渡すと簡単に鍵の束をくれました。もちろん誰にも内緒でです。看守に渡された小さなランプの光だけをたよりに真っ暗な廊下を進みました。レンは、その廊下の一番奥の牢屋に入れられていました。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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悪くて可哀想な双子 (3)

!! CAUTION !!

これは悪ノP様の言わずとしれた名作「悪ノ娘」と「悪ノ召使」を見て感動した上月がかってに妄想を爆発させたそのなれの果てです。

・当然の事ながら悪ノP様とは何の関係もありません。
・勝手な解釈を多分に含みます。
・ハッピーエンドじゃありません。(リグレットとの関連も無いものとしています)
・泣けません。
・気付けば長文。(つまり、要領が悪い)

以上の事項をご理解いただけた方は読んでみて下さい。

閲覧数:1,062

投稿日:2009/12/13 21:52:56

文字数:833文字

カテゴリ:その他

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