海岸の白砂が月の光を反射する
銘々の夜、夜光虫の海の静けさを患い
弔った残り僅かな残滓に捧げる
水葬の夢、漂う泡沫の隙間

月の繭で楽園が孵化した
祭典の刻は眼前にまで迫っている
灯台の灯りが点滅した頃

全てを忘れ、告別の言葉を

教会の鐘が鳴った
極彩色の魚の群れ 空に満ちて游ぐ
月の灯台守が此方を見ている
一瞬の銀曜日に遙か彼方の海が映る
ただ溺れていたい 素晴らしき日の夜
流離う海月の聲が響いた
笑っているよ
月光の灯籠でこの空に繋がろう
醒めない夢と既視感の患い
記憶の隙間で花が散った

向日葵の坂道に夕の涼しさを待つ
華やぎの夜、伽藍堂のこころ 憂を伴い
葬った残り僅かな懺悔に祈り
会葬の夢、絡まる式日の隙間

月の虹で蝶々が眠った
月面の夏が眼前にまで迫っている
灯籠の燈が明滅した時

夜風に委ね、錯綜と別れを
望んでいた

狼狽の声で泣いた
無彩色の鳥の群れ 海に沈み翔ぶよ
月の観測者が此方を見ている
一瞬と永遠に僅か一匙の酔いが回る
ただ窒息していたい 美しき日の夜
揺蕩う夜光虫が歌った
眩んでいるよ
八月の灯台でこの海と繋がろう
掠れる夢と十六夜の移ろい
夏野の静寂に火を放った
繰り返しの夢を見る

嘘を吐く万華鏡が灯籠流しを写した
鳥居の群れ、夏を琥珀に閉じ込めて笑う陽炎
影送りで終わる八月の廃校に
夏の坂がまた気を衒う

海の鳥が空の魚を捕食して
錆びた欠片の感情を梳かす
膿を花瓶に流した後で
向日葵畑に立つ塔の上から
身を投げて月面に着地する夢を見る

遙か昔と遙か未来の夏が交錯する

教会の鐘が鳴った
極彩色の魚の群れ 空に満ちて游ぐ
月の灯台守が此方を見ている
一瞬の銀曜日に遙か彼方の海が映る
ただ窒息していたい 美しき日の夜
揺蕩う夜光虫が歌った
眩んでいるよ
八月の灯台でこの海と繋がろう
掠れる夢と十六夜の移ろい
夏野の静寂に火を放った
湖に月が写った後で

月面の鐘が鳴った
硝子色の空の果て 独り夜を廻る
月の管理人が明日を迎える
一瞬を繰り返して彼方、天井の宵で躍る
ただ取り憑かれていたい 繰り返し、夢見る
躊躇う生命の動き、嘆いた
分かっているよ
幻燈の揺らめきでこの日々を彩ろう
忘れる夢と催涙の転回
月光の狂いが笑った
延命、少女の夢

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

或る夏、箱庭と月面描写

とある夏、病棟の少女は遙か昔と遙か未来、存在する景色と存在しない景色、その全てを描写した。
月に想いを馳せて。

閲覧数:78

投稿日:2023/11/04 08:36:26

文字数:954文字

カテゴリ:歌詞

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