そっと この歌を あなたに捧げる
私は先に行くけど あなたは向こうで応援してる
私のこと... 忘れないでね...
「美奈。今日は空が本当にきれいだね」
「そうね。こんな空久々に見た」
私は貴方とあの広い空を病院のベットから見ていた。
雲すらそれを美しく見せるためのパーツほどのきれいな空。
私はちっぽけな存在だった。
家族も遠くで仕事をしていて、一人この病院で長い間生活した。
そんな私を貴方は気づいてくれた。
ある日。私は寂しさと悲しさで泣いていた。
なんで私はこんな運命になってしまったのだろう。
怒りすら覚えていたかもしれない。
その時だった。
「どうしたの?」
貴方が私に気づき、声をかけてくれてのは。
「あなたは?」
「俺は海流(かいる)。この街の音大の学生だよ。母が入院してて、この病院にいつも来てるんだ。そしたら、お前が一人で泣いてるんだよ」
海流は優しく笑う。
「私は美奈。今は一応高校生だけど、長い間病院でずっと生活してる。小さいころから体が弱くて」
私の涙は止まっていて、微笑んでいた。
それが私と貴方との出会い。
私はとても嬉しかった。
でも。
とても悲しい。
「何故 貴方は私に気付いてしまったの?」
「何故 私は貴方に惹かれてしまったの?」
「ひどい運命ね」
一人ベッドで私は呟く。
誰に向かって呟いたのかは私も分からない。
「神様は意地悪だわ」
私はまた呟く。
私は運命を決めた神に対して呟いたのだろうか?
私は神に仕える天使に対して呟いたのだろうか?
私は神に逆らう悪魔に対して呟いたのだろうか?
それともただ、この広い空に呟いたのだろうか?
さよなら さよなら 愛しい人
ずっとずっと一緒にいたかった
ある日私は貴方に言った。
「海流。大学行きなさい」
「でも、美奈……」
発作を起こし倒れた日以来、海流はまともに大学も行かず、私の病室にやってくる。
そんなのは当然よくない。
だから私は言った。
「大丈夫よ。この間はたまたま起きただけ。医者だって余命5年って言ってるのよ? 医者を信じれないの? さあ、音楽のコンクールがもうすぐなんでしょう。私はそれで海流が賞を取るのを楽しみにしてるんだから」
貴方は戸惑ってから、ゆっくりと頷いた。
「分かった。コンクールに出て賞を取るよ、美奈に喜んで貰えるなら。ただ、コンクールは遠い地でしばらく帰れないと思う」
貴方は心配そうに私を見つめて言った。
「大丈夫。待ってるわ」
私は笑った。作り笑いをした。
その笑顔を見ると、貴方は
「うん。じゃあ、大学行ってくる」
と、言って出て行った。
私はあの広い空を見つめる。
自分の体の状態は自分が一番よく知っている。
余命5年。
それはきっと医者が私と貴方を安心させるために言った嘘。
私は、自分の体がそんなに持たないことを分かっていた。
けど
私が 貴方の重荷になるのなら
私は 喜んで貴方の前から消える
私は 貴方の重荷にはなりたくない
「ああ」
私は嘆く。
涙が自然に頬を伝う。
「楽しく話す日々が いつまでも続けばよかったのに」
「あの幸せな日々が いつまでも続けばよかったのに」
辛い、辛いよ... 会いたいよ
一人は寂しくて 貴方がとなりにいない事が辛い
私は 何故此処にいて
貴方は 何故此処にいないんだろう
でも、いくら嘆いても私は貴方には電話しない。
貴方の重荷にはなりたくないから。
私はまたあの広い空に嘆く。
「二人の運命はいつから狂ってしまったんだろう」
もう私は話すことすら辛くなっていた。
家族も遠く、仕事が忙しくて来れない。
貴方もコンクールでいない。
私はちょうど一か月前のことを思い出す。
貴方は私のために曲を作った。
普通ならば、ソフトを使って歌わせるのに貴方は、歌詞はあっても歌声のない曲を作った。
「ねえ、海流。どうしてこの曲、歌がないの? いつもはあるのに」
私は貴方に訊ねた。
すると貴方は笑って答えてくれた。
「この曲の歌手はね、美奈だからさ」
「私!?」
私は本当に驚いた。
「私、歌なんて出来ないよ。小さいころから」
私はそう言ったが、貴方は優しく返してくれた。
「そんなことはないさ。美奈の声ならきっと一番にだってなれる」
そして、私はその歌の歌手になった。
懐かしい思い出。
もう戻れないあの頃。
もうここにはいない……貴方。
貴方の作った曲を聴きながら
私はそっと瞳を閉じる
会いたい、会いたいよ
さよなら さよなら 愛しい人
ずっとずっと一緒にいたかった
もうお別れだけど...
何度でも生まれ変わって 私はあなたに会いに行く
俺は満面の笑みで貴女の病室に入った。
驚かせようと思った。
体に少し悪いかもしれないけど。
俺は本当にコンクールで金賞を取った。
その曲は、貴女が歌ってくれたあの曲。
でも。
「…………美……奈……?」
貴女は瞳を閉じていた。
そして、それはもう永遠に開くことはない。
辛い、辛いよ... 会いたいよ
一人は寂しくて 貴女がとなりにいない事が辛い
俺は 何故此処にいて
貴女は 何故此処にいないんだろう
二人の運命はいつから狂ってしまったんだろう
貴女の歌った曲を聴きながら
俺はそっと涙を零す
「かっこ悪いよ、男が泣いてるところなんて。海流はかっこよくなくちゃ」
貴女がいたならそう言っただろう。
会いたい、会いたいよ...
さよなら さよなら 愛しい人
ずっとずっと一緒にいたかった
もう貴女はいないけど...
俺の「愛してる」 届いてほしい
儚き命 -お別れ-
こんにちは
ヘルフィヨトルです。
読んでいただきありがとうございます。
今回は
テーマ……歌詞にできるだけ沿う
目標………泪を誘うw
結果………多少短い、歌詞大量利用
でした。
これは「ノラネコ」さんの歌詞「お別れ」を元に作った短編です。
数段、下がっているところは「ノラネコ」さんの歌詞をそのまま使ったところです。
是非とも「ノラネコ」さんの本家歌詞も見てくれるとうれしいです。
http://piapro.jp/content/0idwydkrqhqzr5eo ←本家歌詞
そして、どなたか作曲できる方、「お別れ」に曲をつけてくれるとうれしいです。
意見・アドバイス・感想、お待ちしております。
読者の皆様にワルキューレが微笑むことを
コメント3
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ご意見・ご感想
ヘルケロ
ご意見・ご感想
>ノラネコ
いえいえ
ノラネコさんの歌詞がなければ思いつきませんでした。
現代風のはなかなか思いつかない私なんです><
また使いたい歌詞があったら、使わせてくれると嬉しいです^^
新しい歌詞、楽しみにしています。
2009/07/26 19:33:48
ヘルケロ
ご意見・ご感想
どうぞどうぞどうぞ^^
短い方が私もアレンジしやすいです。
まあ、詩とかの場合は個人設定を聞いたりすることもあると思いますが、その辺はよろしくお願いします。
いつでもお待ちしております。
2009/07/25 23:44:22
ヘルケロ
ご意見・ご感想
読んでくれてありがとうございます
初の「ご意見・感想」、嬉しすぎます
「心のどこか、忘れてたなにかに気付けそうな予感が…」
とんでもないです。
私のよりうまい人たくさんいますよ
それにこの話はノラネコさんの歌詞がなければ書けませんでした。
私はこういう涙を誘うタイプはあまり得意ではないので
どなたかに元の本筋を作ってもらわないと書けないんです^^;
肉付けなら少しは自信あります d>∨<d
ですから、今回はノラネコさんに尊敬すべきです。
もし歌詞的なものというか、本筋を書いてくれれば小説にしますよ^^
2009/07/25 21:06:40