君とは、友達だから。
君は確か仲のいい子とずっと一緒にいたからあんま最初は話をしなかったよね。
クラスメイトにいたかな、みたいな。
学芸会ではいつも目立った役をする君。
確かずっと前に出てたよね。
何年か前に始めた劇でも君はすごい活躍していて。
私には到底届かない人物なのに。
でも君は「友達だよね?」って聞いてきて。
そして私は「親友だよ!」って言葉を返す。
その〈友情〉はいつまでも続くと信じて。
中学に入って、同じ部活になって、一緒に登下校して。
そのとき既に演劇の道に本格的に進んでる君との距離が縮まった気がしたんだ。
君は読書好きだったけど、私が君の席に行くとすごい嬉しそうな顔をして。
素直に可愛い、って思った。
学年が上がって、私たちは違うクラスになった。
人付き合いが苦手だったけど、君に鍛えられたのかどんどん友達が増えて。
だから君と話す機会もだんだん少なくなっていった。
「ねえ、人付き合いってどうするの?」
君は私にそう尋ねた。
元々明るかった君が、どんどん暗くなっていってる。
でも私は「そのうち出来るようになるよ」とその場を流した。
君なら絶対出来ると信じて。
そして時は流れ、部活引退の日。
もうこのメンバーでは出来ないのかと思うと涙が溢れてきてさ。
目が腫れそうだよ。
「・・・リリィ!」
「!・・・何?ミク・・・改まってさ」
いきなり君に声を掛けられてビックリした。
君は私を呼び止めた後にしどろもどろになって、こう切り出してきた。
「あの・・・さ、もう、部活終わりなんだよね」
「さっきまで目が腫れるほど泣いてたからねぇ」
そう応えると君はクスッと笑う。
まあ一番泣いたのは私だから、当然かな。
「で、何かなミク?」
そして私は君に問いかける。
君はまたしどろもどろになって、そして決心したように目を瞑る。
「あのね、リリィ。実はね・・・ずっと、好きでした!」
・・・え?
これは、告白、というものなのかな。
正直、君がそういうふうに思ってくれているとは思わなかった。
「・・・ミク、私も好きだよ?ミクのこと」
「そうじゃなくて、友達としてじゃなくて」
私はこの一言で察した。
君は私のことを・・・。
恋愛的な意味で好きになってくれている、ということを。
「ごめん、気付かなくて」
そういって君を引き寄せる。
これ以上、君の顔を見ていられる自信が無かったから。
だから力いっぱい抱きしめた。
そして・・・。
「私も、ミクのこと好き・・・いや、愛してるから」
残酷な、嘘をついた。
それは君に対しての裏切りだった。
友達としてじゃなくて、恋人として好きと言ったも同然の言葉だったから。
私にとって、君は大切な『親友』なのに。
でも君はそんな私の言葉にさえ涙を零す。
純粋で、とても澄んだ涙を。
「ありがとう、ありがとう・・・」
耳元で聞こえる君の声。
私はその声をしっかりと胸に刻みながら、「ごめんね」と小さく呟いた。
高校に入って、君と離れて。
やっぱり私は君との距離が近かったんだ。
君は夢を追うために、私は目標に近づくために。
離れたことも、正しかったんだと思う。
「あの・・・ずっとリリィさんのこと好きでした!」
校舎裏に呼び出されて、告白を受けるのも何回目だろうか。
その中には人気のある男子だったり、先輩だったり、時には女子が来ることもあった。
告白を受けて、なぜか君の顔が脳裏に浮かぶ。
「ごめんなさい、貴方とは付き合えない」
「・・・なんでですか!?僕のことが嫌いですか?」
「そうじゃないけど・・・」
演技が上手くて、笑顔が素敵で。
でも駆け引きが苦手で。
いつも素直な、君がいるから。
やっぱり君に勝る人はいないかな。
「私にとって無くてはならない、大切な存在がいるからかな」
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