#11



ミクのデータを解析し始めて、早くも5時間がたった

その途中に会社から電話が来たり、インターホンが鳴ったりしていたが、私は一切にかまわずミクのデータを解析していた


「だめ……このままじゃ、間に合わない!」

「マスター!諦めないでください!」

「わかってる!」


私は必死にキーボードを叩き続ける

この大量のデータの中から、制作者のデータ、もしくは私の無実の証拠を探すのは至難の業である

もちろん、そんなデータや証拠が残っている可能性が必ずしもあるわけではない

時計が無情にも進む




ミクが消えるまで20分を切った

「マ、マスター……私…なんか…体が重い…」

「ミク!!大丈夫よ!きっと、私があなたのデータをいじってるから、重く感じるだけよ!気をしっかりもちなさい!」

「は…はい…」


ミクの限界が近い

それは見た目にも現れている


「どれよ…どのデータなの!?」


私は焦っていた

このままじゃ、ミクの想いも、私も終わりだと…



「マスター……大丈夫ですか?」

「このくらい、なんでもないわよ!」


正直、肩や腕、目、頭も疲れきっている

けれど、休むわけにはいかない




あと10分


「マスター…いままで…ありがとうございました」


ミクの目が虚ろになっている


「馬鹿!そんなこと言わない!」

「私…ほんとに馬鹿でした…マスターと一緒に居たくて……」

「わかってる!ミクのせいじゃない!必ず証拠を見つける!」


私は話しながらも、手をずっと動かし続けた

しかし、それらしいものはいまだ発見出来ない




【ら~…ららら♪ らら…らら~ら♪ らら…ら…ら♪……】

ミクが突然、あの曲を歌いだした

といっても、息をするのも苦しそうだ


「ミク…無理しないで!」

【ら~……らら…ら♪ らら…らら~ら♪ ら…ららら♪……】


ミクは歌うのをやめようとしない…

私たちの唯一の曲…


その時、私の目がある一つの文字列を見つけた


「あれ?これ…さっきまでなかったような…」

「……マ、マスター…私…もう…」


ん?あの文字列が消えた?

もしかして!!


「ミク!辛いだろうけど…もう一回歌って!」

「は…はい」


【ら~ら…ら…ら♪ らら…らら~ら♪ ららら…ら♪……】

出た!

やっぱり!

これはミクが歌っている時だけに表示される!

これはあやしい


私はその文字列の解読を急いだ











「こ…これは…!!」

「マ、マスター……どうしました?」

「見つけた……」

「ほんとですか…やったぁ…」


ミクは苦しそうにしながらも、一生懸命笑顔を作ろうとしていた



「それを公表すれば…マスターの疑いも晴れますね……これで…思い残すことはなくなりました…」

「ミク!?」

ミクの体が光に包まれる












「ふふ…マスター…今度はウイルスなんかじゃなくて…他の形で会いたいです」


ミクの体が消えていく







「ミク!!私…あなたと会えてよかった!私はあなたのマスターでよかった!」






「…うん…ありがとう…マスター……さよなら…」






ミクの体がすうっと薄れていく












ミクが画面から消えると、画面には「NoData」と表示された


私はそのまま机に突っ伏して大声で泣いた


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初音ミクという名のソフトウェア#11

ミクは決して悪じゃないですよ…
一般的にウイルスソフト=悪というイメージですけど…
ウイルスソフト自体というよりも、それを作った人間の方が悪なのだと思います……

「物語の主人公はハイスペック」
物語の主人公は、だいたいハイスペックですけど…
この主人公の場合、音大出身なので、IT関係の仕事だとしても、入社二年目でこの能力は、高すぎますwww

閲覧数:198

投稿日:2012/04/06 23:25:42

文字数:1,445文字

カテゴリ:小説

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    情報社会が生み出した悪の権化。ウイルスはそう見られがちです。
    ですが本当の悪の権化は、それを作り出してしまう人間かもしれない。
    結局人間は、自分の作りだしたものに振り回され、また何か大切なものを失っていくんです。

    あれですね、何か崇高なものが降臨しちゃったパターンですねwww

    はっ!!降臨…降リン…リンちゃんが降リン!?
    ごめんなさい調子のりましたwww

    2012/04/07 00:00:32

    • しるる

      しるる

      おお!かっこいい!!w

      はっ!!?(・A・) リンちゃんが力をかしてくれたのか!?


      きっと、ミクの想いを無駄にしたくないと、必死だったんでしょうねwww
      それと、たまたま見つけれたっていう運の良さ?w

      よし…ということにしておこうwwwwwwww←

      2012/04/07 00:03:43

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