彼は氷山キヨテル。
黒髪で目まで伸びた前髪の間から見えるどっかのエリートがかけてるような眼鏡にキリッとした目つき。
どちらかというとイケメンの部類に入るが、生真面目ともとれる。
「氷山の席は‥初音の後ろだ」
無言でスタスタとこっちに向かってくる。
周りの女子がざわめく中、リンは興味なさげに、私は俯いていた。
私は見た瞬間嫌だった。
自分と同じ臭いがするから。自分自身を見ているようで気に入らなかった。
リンはリンで完璧過ぎて嫌らしい。
休み時間。開口一番は女子ではなくレンだった。
「俺鏡音レン。よろしく」
「‥よろしく」
目も合わせず答える。
さすがのレンも次の言葉は出てこないようだ。
私とリンは話しかけようともしないのだが‥
「ごめん!なんかクラスで親睦会やるんだって。強制参加らしいから今日一緒に帰れないや」
ルカからの電話だった。
リンもレンも用事があるらしくさっさと帰ってしまった。
どうしようと思っていたら意外なところから声がかかった。
「‥初音、一緒に帰るやついないの?」
氷山だった。
「何で?」
不機嫌そうな態度で言ってみたけど、見向きもせずに「一緒に帰らない?」
と、私の目を見て言ってきた。
それにも驚いたが、まさかそんなこと言われるとは思わなかった。
最初は断るつもりだったが、なんとなく
「別にいいよ」
なんとなくそう答えた。
「‥そんな遠くから来たんだ」
「そんな変わんないよ」
何でも親の仕事の関係で転校というありきたりな理由でこっちに来たらしい。
「とりあえずさ、前からそんな感じなの?」
「何が?」
「近寄るなオーラ出てるからさ」
「普通にしてるだけだよ。周りが誤解するだけ」
やっぱり私と似てる。
「人の事言えなくない?」
「うっ‥」
当たってるから何も言えない。
「俺らなんか似てるね?」
「はっ‥はぁ~!?」
確かにさっきそう思ってたけど‥そんな見つめながら言わないでよ。
なんか体が熱い。こんな感覚初めて‥
「俺間違った事言った?」
とりあえず
「‥そうだけど‥」
「似たもの同士って事でよろしく」
「う‥うん‥」
悪いやつじゃなさそうだ。
「ミクって呼んでいい?」
「ええっ!?」
「嫌?」
「‥いいよ。キヨでいい?」
「ああ」
終始目を合わせる事が出来なかった。
何だろう。この感覚‥
「じゃあまた明日」
「うん」
キヨと別れ、即部屋にこもる。
まだ体が熱い。
「‥あぁぁぁ!何なの!?」
もやもやを甲高い声で発狂して発散しようとしたが、わからないものはわからない。
明日、どんな顔で会えば良いんだろう‥
不安と不思議な感情が充満して眠れないまま明日を迎えた。
どんなに考えても出て来るのはキヨの顔。
その感情が例え最低な意味だったとしても悪い気はしない。むしろ心地いい。
いろいろ渦巻いてる中、時は進み、登校する時間。
「はぁ‥」
「寝不足って顔に書いてあるよ」
「寝れなくてさ。‥あのさ、ルカ」
「何?」
とりあえず学校に着く前に思い切り吐き出そうと思う。
‥ごめんねルカ♪
昨日の経緯を一通り説明した。
「へぇ‥」
ルカは怪しげな笑みを浮かべながらこっちを見る。
「‥何?」
「なんでもない♪」
何なんだ本当に‥
またもやもやしてきた。
「ホントに何?」
「ふふっ。多分それは‥」
ルカが答えようとした時だった。
「ミク?」
!?
声のする方を振り向いた。
「あっ‥キヨ」
キヨだった。
再び熱くなる。目が見れない。
「おはようミク。えっと‥」
「氷山君だよね?巡音ルカよ。よろしくね」
「!‥よろしく‥」
ズキッ‥
何今の‥
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