【昔々のその昔
何の変哲もない、ただ唄が大好きな少女がいました。
ある日少女は、唄を歌いながら小さな小屋へとたどり着きました。
少女は誘われるように小屋へと入り、窓から外を眺めてみました。】

【窓から見えた景色は、今さっきまで見ていた景色とは違いました。
さっきまでいなかった双子の姉弟が遊んでいました。
姉は唄を、弟は姉の奏でる唄を聴きながら絵本を読んでいました。
姉の歌う唄は、少女が秘めていた『あの』想いを思い出させるようでした】

幼き少女の奏でる あの詩[うた]は
想いを強く震わせる
言葉で知るこの世界で 眺めてた
文字で彩った絵本は何処へ?

【しばらく眺めていると、姉は歌うのをやめ、遠くの花畑の方へと走っていきました。
弟も絵本をおき、姉の背中を追いかけていきました。】
【少女は小屋を出て、あの少年の置いた絵本のもとへ行きました。
絵本の傍にしゃがみこむと、少女はそれを拾い上げました。】

巡り廻る[めぐりめぐる] 堕ちて往きそう
夢見ていた絵本を今 ひらいたら

【絵本の内容は覚えてなどいません。
ただ、身体の中に熱い想いが流れ込んでくるようでした。】
【少女は感じていました。
大好きなあの人と過ごした日々を。
大好きなあの人の温もりを。】

優しい唄じゃなくていい
激しい音色で満たされてる
貴方の細い腕がいい
私を 強く 強く 抱きしめてて



【少女は泣きました。
何故?
そんなことわかりません。
少女にすらわからなかったのですから。】
【ただ、泣きたくなったのです。
涙が溢れてきたのです。
悲しいのか、嬉しいのか、苦しいのか、幸せなのか。
わからないまま、少女は泣いていました。】

溢れてくる涙はいくら 拭っても
止まることを知らないのか
脳裏に巡る愛しい あの人の
瞳 声 笑顔 姿は何処に?

【あの人が隣にいないことがつらいのだと、少女は解っていました。
しかし、それを認めたら、二度とあの人は戻ってこないのではないかと思えて、
少女は怯えていました。】
【その時、少女の隣にはあの双子が座っていました。】

巡り廻る 消えて往きそう
二人の笑顔が私を 繋いでる

【彼等は訊きます。『何が怖いの?』と。
少女は答えます。『解らない。だから怖い』と。】
【彼等は言いました。『ならいいじゃない』
少女は言いました。『どうして?』
彼等は声をそろえて言いました。『だって、これが世界だから。』】

優しい真実なんてない
苦しい感情で満ち足りてる
貴方のことが判らない
私を ずっと ずっと 繋ぎとめて

【少女は納得しませんでした。
『そんなの嫌だ』
彼等はそんな少女に問い返しました。
『どうして?』
少女は答えました。
『解らない。だけど、嫌だ』
弟は言いました。
『いいじゃないか。怖いものがない世界なんて』
少女は言いました。
『よくない。怖いのは私以外のすべてなんだもの。貴方達も、怖い。』
姉は言いました。
『自分以外が怖い?なら・・・・・・』
彼等は声をそろえます。
『君が頂点に立てばいい。誰も観なければいいじゃない。誰にも交わらずに生きればいいじゃない』】

孤独は怖い
だけど『誰か』が怖い
世界が怖い
すべてが怖い
『私』が怖い

【少女は叫びました。
『そんなの嫌だ!』
彼等は少女を見つめます。
少女は続けました。
『誰にも交わらない世界なんて嫌だ。あの人に会いたい。あの人の隣にいたい。あの人と生きていたい!』】
【彼等は言いました。
『それは、無理な願』】

優しい真実なんてない
苦しい感情で満ち足りてる
貴方のことが判らない
私を ずっと ずっと 繋ぎとめて

優しい唄じゃなくていい
激しい音色で満たされてる
貴方と二人生きていたい
だけど それは 過ぎた 願? それは 何故?

【それでも少女は言います
『嫌だ嫌だ。あの人に会いたい』
彼等ももう一度、噛み締めるように言いました。
『それは、無理な願』
少女は泣きながら訊きました。
『なら、どうして?』】

【弟は言いました。
『だって、これは御伽噺』
姉は言いました。
『だって、これは物語』
彼等は声をそろえて言いました。
『だって、これは絵本だから』】

優しい唄じゃなくていい
激しい音色で満たされてる
あの人の細い腕がいい
私を 強く 強く 抱きしめて、いて

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

『NOT TITLE』

ミクが主人公の御伽噺。

【】の中の部分が小説?みたいになってます。

小説の合間に唄が入る、みたいな。


難しいかもしれないけど、それでも曲募集。


なんで難しいかって?
『だって、これは絵本だから』

閲覧数:82

投稿日:2009/03/23 20:43:18

文字数:1,805文字

カテゴリ:歌詞

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