~「消えてゆく音」~

「会いたくても、声を聞きたくても、無理だったもんね!」

「削除」僕らにとって、これほど怖い事。
いや、恐ろしいものは無い。

「その事は言わないって約束したろ?リン」

「・・そうだったね・・・ゴメン」

ミク姉もメイコ姉さんも、カイトも消える前にこういった。

”私たちの事は・・・忘れて、あなた達は歌を”

「とっても、とっても、怖い事なのに、どうして・・・」

「笑顔だったの?だろ」

「・・・うん」

たった、たった一度だけでもクリックするだけで消えてしまう。
簡単な事だ。
恐怖に追い詰められていたハズなのに、笑っていた。

<私たちは消えるけど、泣いて歌わない!とか言わないでよ?>

<俺の代わりにレン君、ちゃんとリンの事見るんだよ~?>

<もう!リンちゃんはお兄ちゃんのじゃないでしょ!>

     <・・・じゃあね>

みんな、0と1に還元され、消えていった。

僕らは手を伸ばした。 けれど 届かなかった

消える瞬間を目のあたりにしたリンは、泣き叫んだ。

僕だって泣き叫びたかったけど、無駄な事とリンを泣き止ませるのに精一杯だったから。

「ひっく・・・」

「・・・泣くんなら話すなよ。無理しやがって」

「ゴメ・・・ッン・・ひっく・・」

僕はそっとリンの手を握った。
あの時みたいに泣き止むように、安心させるために。

「・・・レ・・ン?」
「・・大丈夫」

それからは何も言わないで、黙ってリンの冷たくなっていた手を握っていた。

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「消えてゆく音」第二話

リンの手が冷たかったのは、消えそうだったから(だと思う!

閲覧数:116

投稿日:2011/06/25 21:54:58

文字数:648文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    最後の
    > それからは何も言わないで、黙ってリンの冷たくなっていた手を握っていた。
    っていう所良いですね 温度と描写を繋げるのって、普通に書くよりもより印象的に感じる
    GJです!

    2011/06/26 00:51:23

    • *ちるらむ*

      *ちるらむ*

      ありがとです^^
      ええと・・・w
      とりあえずありがとうです!

      2011/06/26 21:08:57

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