【狐のお面】2
もしも願い事がひとつ叶うとして、
友人と呼べる相手がほしいな…
花火が終わり、静かになった境内で僕は、子供の手を握っていた。
お面で顔を隠し見せないようにする子供の横顔は、どこかもの寂しそうで。
僕は言う。また、此の場所で会えるといいね。握る指先が温かかった。
(ハルくん さん書き出し)
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本当の嘘をあげる。
友達なんていらないんだ。
だって、皆いつか別れが来て居なくなってしまうでしょう?
だから、友達なんて作らないんだ。
狐のお面をつけたままの子供は、僕を見上げた。
祭りの灯りがひとつひとつ消えていく。
僕は握っていた手を離した。
子供は境内を寂しげに出ていく。
(明日架さん書き出し)
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小指に見えたのは黄色い糸だった。
翌日、僕は不思議な気分で朝を迎えていた。
大切にしていた小指の赤い糸が切れてしまって、
夏祭りの夜も今日の朝も悲しみに明け暮れているはずだったのに。
あの狐のお面をつけた子供と縁があったお陰で、少し救われた。
僕の心を繋ぎ止めた、黄色い糸。
(猫の手も借りたいネコさん書き出し)
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作られた命に宿る心は、
温かな肌の記憶を求めた。
たけどなかなか思い出せなかった。
まだ小さいその胸にぽっかりと空いた穴は、無邪気な笑顔を奪う。
祭りの夜が明けても、狐のお面の子供は屋台が並んでいた境内の側に居た。
あの夜、ふと優しく握られた手の温もりが忘れられない。
(あやかしbot@桔梗堂さん書き出し)
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