沈む日の最後のひとすじ
夜に浮かぶ灰色雲
明け方飛んだ鳥の影
あなたはどこで見ているの
見知らぬ土地の消印も
雨ににじんで読めない文字も
ポストの中には何もいらない
ただ眩しさに目を閉じるとき
私の名前を呼んで
朝日にひかる薄氷(うすごおり)
昼最中(さなか)の焼けた土
夕が眠りを告げる花
あなたはどこで見ているの
たった1人旅する理由(わけ)も
どこにいるかもいつ帰るかも
聞かない 教えてくれなくていい
ただ眩しさに目を閉じるとき
私の名前を呼んで
となりあって過ごした日々と 背中見送ってから今日と
ちょうどおなじ時間が流れたから
私もここを発(た)つわ
いつか遠くの街角で
空の色さえちがう世界で
旅の終わりが来るかもしれない
そして哀しみに目を閉じるとき
私の名前を呼んで
あなたのもとへ行くから
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