――怪物と戦う者は自分が怪物となってしまわないよう注意しなければいけない。深遠を覗き込むとき、深遠もまた君を覗き込む。
その哲学者はいくつもの名言を残したが、光り輝いているようにさえ思えるセンテンスの中でも一際素晴らしい、後世にまで残しておくべきだと強く思うのは、まぁ人により差異はあるだろうが、この僕、鏡音レンは、個人的に偏見にも多少基づいて、これに違いないと、そう考える。
昔の人はいいことを言うなと、僕の妹(彼女は姉と主張している)に感想を漏らすと、僕そっくりの顔を嫌そうに歪めて、やだ、また病気が再発したの、と失礼にものたまった。
そういうわけじゃない。
けれど、僕が暴走した場合、真っ先に被害にあうのは彼女なので、大丈夫大丈夫、ちゃんと薬飲んでるだろ、と口に出して安心させてやった。
ついでに頭を撫でようとする。
避けられた。
ちょっと寂しい気がするけれど、そろそろ人間の隣にいるのは限界を感じるので、夜の散歩と洒落こむことにする。しばらく病院にいたから、外の空気に触れるとなんだか興奮してくる。これは、いい傾向ではないのか。うん、別にいいや、薄味の食事にはうんざりしていたところだ。
夜歩くのも、悪くない。

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鏡音レンは夜歩く

続く・・・かもしれないかも。
とある病気を抱えたレンが夜歩き、事件にも満たない暇潰しに巻き込まれる的な話になる・・・予定。
15分でつくっただけに、15分で飽きそうな予感がする。

閲覧数:147

投稿日:2008/10/02 19:18:22

文字数:510文字

カテゴリ:その他

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