血のにじむほどに　ぎゅっと握っていたけど
ふと手を解（ほど）いた　そこには何もない

何を大事に　してきたのかなんて
空間を見つめて　ぼんやり思った

僕はデクノボウなのか　要らない人間なのかな
いつまでたっても答えは出ないし答えはない

どこへ　行（ゆ）くも　追い立てられては
逃げて　遠く　この先も見えないまま走る

僕を大事だなんてあんたは　言うが
嘘なんだろ　信じられるわけがないよ

僕の目の前に　差し出されたものは
笑顔に彩（いろど）られた　醜（みにく）い何かで

受け取り拒否を　態度で示すけど
それは不可能だ　逃げられはしないと

優しさの皮をかぶって　その実（じつ）狂気に変わる
それこそがダブルバインド　理不尽なんだと知ってる

君が大事だと　昔　聞いたセリフがよぎる
何を信じればいい　変える力（ちから）ない　本当か？

僕の　心　踏みつけて笑う
そんな　景色　既に慣れている

僕の　心　踏みつけられても
あの日　捨てた　君が大事だという言葉を

もう一度　胸に留め置こうと思う
信じるもんは　自分の心で決める

ライセンス

ダブルバインド（変更可）

すずらん

kinucocoa様(https://piapro.jp/t/sDmu)への応募歌詞です。

淡々としているような、それでも一度聞いたらリズムやら音楽やらが耳に残る楽曲でした。ありがとうございます。

仮題『nothingspecial』を自分は「特別なんてない」と解釈して、過去と現在の時を超えたダブルバインドをテーマとして作ってみました。
ただ、「ダブルバインド」って響きを使いたかっただけ……ともいう。

こぼれ話。
私にしては珍しく、楽曲を聞いて1日足らずで、歌詞の大枠を書けてしまって、自分に衝撃を受けた作品です。（大体短くても1週間、長くて数カ月を要するというのに……。）
その後ちょいちょい手直ししていて、早い段階で完成状態だったのに、投稿しようかどうしようかで長時間悩んでましたが、まぁ、折角生み出したものを世に出さないのももったいないかーと思い直し、投稿したという現在に至ります。

…我ながらめんどくさい思考回路です。