朝　目が覚めて
周りを見回す
相変わらず　曖昧な世界
私が見る世界は　
水のように輪郭が溶けている

人の顔も見えないのに
表情を気にしておびえるの
人の声しか聞こえないのに
貴方の話を聞き流す

私の世界が溶ける前
貴方はどんな姿をしていたかしら

顔を寄せて寄せて
やっと貴方の顔が見えるの
指で触れて触れて
やっと輪郭を捕まえた
貴方の目はこんなに溶けていたかしら
貴方の色はこんなにぼやけていたかしら

昼の太陽が射し
瞳にしみるの
相変わらず　溶けた輪郭
貴方の世界で
太陽の光はどう映るの？

裸足の足で歩いているの
草を踏んで土を踏んで
貴方が傍で眠っているの
貴方の匂いはすぐに分かるわ

私の世界が溶けた後
貴方の声が輪郭を持つ

土を蹴って蹴って
やっと貴方の傍に着くの
布団にもぐりこんで
やっと貴方を感じた
貴方の指はこんなに細かったかしら
貴方の声はこんなに透けていたかしら

私の世界が溶けても　貴方の世界は

夢の中なら覚えているの
きれいに澄んだ世界の中で
貴方と共に溶けない輪郭を
ずっとずっと抱きしめているの