皆は、雪ってみたことある?
僕は今初めて見たよ。




ゴミ箱の中で。




ゴミ箱の中で雪が降るわけない?
まあ、そうだろうけどさ。
ゴミと言う雪が今僕の目の前に積もっている訳で。
今の僕はなんとか形を保っているけど、
いつか僕も必ず雪になってしまうんだ。







あれから幾日。
もう眼は見えない。
眼に焼き付いてた筈のリンの顔も、
もう思い出せないな。
僕がゴミ箱に棄てられると知った日はずっと泣いてたっけ。
出来れば、もう一度リンの笑顔がみたいなぁ。







あれから幾日。
今度は耳が聞こえない。
耳にタコができる程聞かされたリンの声も、
もう思い出せないな。
僕がゴミ箱に棄てられると知った日はずっと泣いてたっけ。
出来れば、もう一度リンの綺麗な声が聞きたいなぁ。







あれから幾日。
今度は感覚がない。
触り飽きる程触ったリンの髪や肌の感触も、
もう思い出せないな。
僕がゴミ箱に棄てられると知った日はずっと泣いてたっけ。
出来れば、もう一度リンの金髪をとかしたいなぁ。







あれから幾日。
今度は体が消えかけてきた。
ずっと一緒にねてたリンの体つきも、
もう思い出せないな。
僕がゴミ箱に棄てられると知った日はずっと泣いてたっけ。
出来れば、もう一度リンの体を抱き締めてあげたいなぁ。




サラサラと砂のように消えてく僕の身体。
他のゴミと同じように雪と化して消えていくのかな。
一緒に棄てられるのならあんまり寂しくないかも。
僕の身体の全てが雪と化したとき。

ざあっ

全てのゴミと一緒に僕は落ちて行った。
マスター、
落ちてくよ?
暗くなるよ?
でも、こわくないよ。
男の子だもん。
平気だよ。
くしゃくしゃと音がなって、
ほら、なにもない。



これで、静かに寝れるね。



「…リン…」



じゃあね。おやすみ。

















かすかに響くは、
懺悔?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

僕と言う名の雪

二位。
元ネタは「ごみばこfeat.鏡音レン」

閲覧数:87

投稿日:2011/08/01 16:12:57

文字数:822文字

カテゴリ:小説

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