時間というものは、
優しさの欠片もなくて。
僕のことを待ってくれるわけもない。

夏の終わりが、そっと、音もたてずに近づいてきた。
今年もまた、この時期がやってくる。

ふと、ヘッドフォンを外すと、花火の音が聞こえた。
僕は急いで窓を開け、外を眺めるが...

夜空はただただ真っ暗で、花火は見えなかった。

「星も無いなんて、やな気分」

ポツリと、呟いた。



「あ」

突然僕は何かを思い出して、携帯をポケットから取り出した。
そして電話帳を開いて、あの子の番号を押した。

---プルルルル、プルルルル

「はいもしもし」

「あ、もしもし、あのさ、来週花火大会あるじゃん?」

「あぁ...そっかー、もうそんな時期なんだね」

「うん、それで、さ、もしまだ予定入ってなかったら、一緒に行かない?」

「いいね!丁度その日暇だよー」

「じゃぁ詳しいことはメールで送るわ」

「了解ーじゃぁね!」

---ピッ

たった5分ぐらいの出来事なのに、1時間のように思えた。

「や、やった...!僕誘えたよ!楽しみだなー!」

嬉し過ぎて何時の間にか思ったことを口に出していた。

でも、とにかく誘えたんだ!オッケー貰えたんだ!

その後は一日中テンションが下がらなかった。

<つづく>

【12/9更新】
その後の日々は、毎日花火大会のことばかり考えていた。

まだかな、まだかな、と花火大会が待ち遠しくて、一日一日が妙に長く感じた。

当日のプランもしっかり練っていた。

一緒に色んな食べ物買って、それを持って僕しか知らないとっておきの場所に行って、一緒に食べながら綺麗な花火を見る。

僕は女の子は綺麗なものが好きだと思うんだ。だからきっとあの場所で、一緒に花火を見れたら、喜んでくれるはず!

僕は君の喜ぶ顔を想像しながら、クスクスっと心の中で笑った。

素敵な一日を過ごせたらいいな...

______

そんなこんなで、とうとう花火大会はやって来た。

「あー・・・なんか早く来すぎちゃった」

僕は楽しみすぎて、1時間も前に待ち合わせ場所についてしまった。

携帯弄ったり、ちょっと近くをウロウロ散歩したりして時間が過ぎるのを待った。

すると彼女は、20分前に来てくれた。なんだか嬉しい。

「あれっまだ時間じゃないはずなのに...いつからいたの?」

「実は僕もさっき来たばかりだよ」

「ふふっ...お互いちょっと早く来ちゃったね。取り敢えず行こっか」

すると彼女は先を歩き、また振り返っては手招きをした。

彼女の浴衣姿はとても可愛くて、思わず見とれてしまった。

まあそんなこと本人にはぜったいいえないけど

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

【小説】君と花火と夏の終わり

作詞を担当させて頂いたミクのボカロ曲の、小説バージョンみたいな感じです。

気まぐれで書きました。もう書く気力ないので続きません。

閲覧数:275

投稿日:2011/12/09 21:09:13

文字数:1,122文字

カテゴリ:小説

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