――僕は臆病者だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今日僕は“少年院”というところに連れて行かれた。
僕は何故そんなところに行かなきゃいけないのかわからなかった。
僕は疲れているからゆっくり休みたかった。
でも有無を言わせない口調で言われたので、黙ってついて行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「今日から君はここで暮らすんだ。君がやったことを反省しなさい。」
僕はその言葉に疑問をもった。
僕は普通のことをしただけなのに、何故反省しなければならないんだろう。
でも僕は恐い顔をしたあの人に反論は出来なかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「よぉ、新入り。」
「……僕のことですか?」
「あぁそうだよ。」
何で僕に話しかけたんだろう。
まさか、ここに来たら先輩に挨拶しなきゃいけなかったのかな。
…どうしよう。謝った方がいいのかな。
「おい、何黙ってんだよ。」
「えっ、はい、すみません、すみません。」
恐い顔で睨んできた。
よくわからなかったけど、謝った。
「いや、別に怒ってねぇから。お前ここに来たばかりだろ。よかったら俺が案内してやるよ。」
「い、いいですよ。迷惑かけてしまうので。すみません。」
「遠慮すんなって。」
そう言って僕の手をひいて歩き出した。
見た目は恐かったけど、彼はいい人だと思った。
何も知らない僕にいろいろなことを教えてくれた。
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暫く歩いていると、彼が僕に声をかけてきた。
「そういえば、お前って何でここに来たんだ。」
「えーと…。」
僕は考えた。
どうして、ここに来たんだろうか。
「貴方は何でここに来たんですか?」
よくわからなかったので、質問を返した。
ちゃんと答えてくれるか不安だったが、彼は答えてくれた。
「ん、俺?俺は盗みをしたからここに来たんだよ。」
「すごいですね。僕は臆病者だから、人のモノを盗んだり出来ませんよ。」
「そんなことねぇよ。つか、俺の質問に答えてなくね。」
「あ、すみません。でも貴方と比べたら大したことじゃなくて…、」
「大したことない方がいいだろ。」
「そ、そうですね。僕の罪は…、」
わかった。僕がここに来た理由が…僕の罪が…。
「僕は…両親を…両親を、殺したんです。」
彼が息を飲んだのがわかった。
でも僕は話を続けた。
「僕は両親に殴られて育ったんです。殴るのは愛してる証拠と言われながら…。」
「おかしいだろ…それ。」
「ですよね。でも僕はそのことを信じ続けたんです。だけど…、」
僕はそこで一度、言葉を切った。
そして深呼吸をしてから話し出した。
「僕が両親を愛してる証拠を見せたことがないと思ってしまったんです。それで怖くなってしまったんです。そして、その証拠を見せるために両親を殺してしまったんです。………でも、後悔はしてないです。」
ちらっと彼の方を見た。
彼はあの時みたいに、恐い顔をして黙っていた。
彼を不快にさせてしまったのではないか、と不安になった。
「すみません。変な話をしてしまって…。」
「いや、別に構わないけど…。」
そう言って彼は黙ってしまった。
「あの、僕、部屋に戻りますね。すみませんでした。」
立ち去ろうとしたら、彼が呼び止めた。
「おい、何かあったら俺に相談しろ。……少しは力になるから。」
「………ありがとう、ございます。」
久々に優しい言葉をかけられた。
何故だか両親に殴られた時より、安心することができた。
僕は間違っていたんだ。
彼のおかげで気づくことができた。
――僕はこれから罪を償っていかなければいけない。
臆病者の僕と両親の2つの罪を…。
コメント1
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ご意見・ご感想
禀菟
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ヤンデレ旨い(^q^)
『僕』は帯人ね!?
なんてかあいらしい…
こういう系好きだよ(*^^*)
えっと…厨2?
2011/05/04 17:29:15