「この世界は『操られた世界』……って言ったらあなたは信じられる?」

「はぁ?」



さっきから初音は、否定された仮説がどうのこうの言っていたが、僕によってはどうでもいいことだった。
だが今初音が言ったことに、僕は興味を持った。



「操られた?どういうことだ」

「そのまんまの意味よ。この世界は操られている」

「操られているも何も、僕は誰にも操られていない」



僕は、ちゃんと自分の意思で生きているんだ。
…自分の意思なんて、やっぱりそんなもの存在しないのかもしれない。



「話を聞きなさい。えー…
 この世界は、神様が無限につくったスゴロクをそのままたどっている。
 人や動物などの命は、神様がサイコロを振って進めたコマを、マスに書いてあるイベントで操るのよ」

「はぁ…つまり?」

「マスに書いてあるイベントで私たちの人生は決まる、ということ」

「つまりは僕らの人生は神の遊び、みたいな?」

「そうよ」



人の命で遊ぶ…神が遊ぶ人生ゲーム、みたいなものか。




「でもそれも仮説だろう?そもそも神なんて居るのかもわからないし」

「つまり、あなたは信じないのね。この説も、神様も」

「ついでに僕は、君も信じていないさ」

「あなたが私を信じているとか、どうでもいいのよ」



僕は信じない、このセカイも僕も操られているなんてこと。



「本当に君は、何が言いたいんだ?いつもはそういうこと言わないのに」

「あなたは、この世の秩序が知りたいんでしょ?自分が生まれた意味、生きている意味を」

「ヒントをあげた、とでも言いたいのか?僕は誰の助けも借りない」

「そういうわけじゃなくて…まぁいいわ」



初音が何を考えているのか、よくわからない。
知ろうとはしないが。
だって僕にはどうでもいいし。



「だったらなんだ?君も、この世界の秩序を知りたい、とか?」

「こんなツマラナイ世界の秩序、知ったってどうにもならないわ。
 あなたはソレを探しているみたいだけどさ、このちっぽけな世界に
 秩序なんてものは、存在しないのよ」

「だったら、君の研究の意味はなんだ?
 君は昔、この世の全てを知るための研究をしていて、それで『この世がツマラナイものと知った』と言っていたろう?
 それでも君の研究の様子は、昔と変わっていないじゃないか」

「…何が言いたいのよ、神威」

「君の計画は…君の企んでいることは、なんだ」

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【リレー】僕と彼女の不思議な日常 3

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投稿日:2011/10/19 22:08:10

文字数:1,031文字

カテゴリ:小説

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