Ibarana_xxの投稿作品一覧

千切れた羽を広げれば
虹の彼方へ行けるから
地平線では空と大地が
手を繋いでいる
凍えそうな季節の中で
気高く舞い踊る蝶は
この世の始まりと終わりを
きっとどこかで見ている
冬に咲いた花のように
孤独さえも受け止めて...

雪の降るこの星でただ一人
愛なんて知らないまま生きていた
白い大地の奥底では安らかに
たくさんの命たちが眠っている
春は永遠に訪れないまま
凍えそうな寒さが私を突き刺す
この世界のどこかで一輪の花が
咲いているのならいつかあなたに逢いたい
餞の贈り物を添えながら
凍てついた思い出を掘り起こす...

心の底からあなたを愛しています
その手で私を優しく痛めつけてほしい
もう戻ることさえ出来ないのなら
いっそすべてを飲み込めばいい
この快楽を離さないまま
悲鳴を上げて誓いの言葉を
救われない私の身に
痛みを染み込ませながら
解き放たれた傷口を
あるがままに掻き回され...

美しいものがあるから
醜いものが生まれる
虚無の彼方に感情を置いて行けば
楽になれるのに
少し行き急ぎすぎて
目を合わせるのも怖くて
ここですべてを葬ってしまえば
終わってしまう
なぜ人は生まれた
なぜ産声を上げた...

ほら見てごらんここから先は
永遠へ続く幸せの道
空と大地もあなたを祝福して
手招いている
汚れた心はすべて私が
優しさを込めて消してあげる
手と手を繋げばあなたの願うまま
幸せになろう
痛みも苦しみもない世界
涙なんて流さなくていい...

太陽が眠れば夜が訪れる
凍えそうな寒さと共に
荒れ果てたこの街も嘘のように
言葉さえも失っていた
闇に迷い酔いしれた獣は
月明かりに憧れながら
永遠に生きることの悲しみを
受け止め切れなくて
ただ泣いていた
愛されても愛せない...

目の前で横たわった
赤く塗り潰されるあなたは
眠るように目を閉じていた
世界はまるで舞踏会
痛みと快楽に踊る
色のないその素顔だけを
隠しながら
廻り続ける時の中で壊された
裁きという名の悪戯の中で
私は藻掻いて...

ひらりと舞う枯葉の姿は
涙を流す私と重なっていた
もうあなたには会えない
胸を貫く想いが
私を離さないままで
大空に浮かべられた
行方知れずの星々
暗闇の中を駆けて
引き寄せられてゆくだけ
いつかの夏に芽生えた...

ねえ楽園の中で悲しまないで
もうその手を汚さなくていいから
さあ何もかも忘れて踊り明かそう
記憶に涙を供えて
永遠という幻なんて私はいらない
救われない定めこそが何より眩しい
いつか幕を下ろして旅立つ時を迎えるだろう
けれど人はただ立ちつくしたまま
帰れない
ねえ楽園の中で悲しまないで...

繰り返される罪の音に
心地好さを感じた
数え切れない愛と夢を
手にしていたはずなのに
役目を終えた命のように
寝息も立てないまま
時間を超えて過去となって
人は自らの罪を知る
耳を澄ませば聞こえるでしょう
鼓動の途切れる音が...

何もかも変わってしまった
まるで宝石のように
凍り付いた心にはもう
触れられない
まるで操り人形のように
あるがままに踊らされ
体中を巡る糸に
しがみ付いているだけで
愛という名の死化粧で
誰を欺けるのだろうか...

私はこの世で誰よりも美しい
もっともっと褒め称えて
私は眩しいほどに輝いている
もっともっと愛して
あなたはこの世で誰よりも醜い
ずっとずっと哀れでいて
あなたの姿はただただ惨めで
なんて素敵なことでしょう
赤く彩られた魂を看取ってあげましょう
光に包まれた震えるあなたを見離して...