笹原

絵本の中の世界なら
明日の天気もわかるかな
アリスの跡を探して
いつまでも夢に囚われたまま

粉々に砕けた心は
二度と元には戻らないし
今でも君の幻影に
睨ませる僕が憎い
悲しいとは言えないな...

君の影を探す 夢の中
響くのは時計の音
遠く見上げた夜 境界線
廻り出す 誰かの世界
夕暮れ 駆けていく大通り
祈る資格はとう失せた
顔も声もノイズ混じり
また明日と笑うばかり
「君だけが見えない世界で
生きてることに吐き気がする」...

何も進歩していないな
まだ明日は怖いまま
誰かに助けてほしいな
人任せは楽だよな
何も知らない人ほど
「頑張れ」って言う
何をなんて教えてくれない
大丈夫と言い聞かせて
無理矢理上げた目線
背伸びしても苦しくて...

月も翳るこんな夜に
不意に足を止めた君が
震える声で打ち明けた
大切な話
同じ世界にいたのに
同じ日々を生きたのに
君が見ているものが
羨ましく思った
ああ 君が決めたのなら
押しても止めても邪魔になる...

この世の全ては多数決
そこに個人の意思は必要ない
二者択一の世界には
「3」の答えは必要ない
常識ぶった街が嗤う
正直者が馬鹿を見る
変わり者には後ろ指をさす
気味が悪いから
死ぬのが怖いから生きてるだけで
世間とか別にどうだっていいんだ...

人並みに合わせて生きてきた
疑うことなく単純に
誰が決めたのか常識が
絡まる髪を切り落とした
大切なものがあるのだと
勇気を出して打ち明けた日に
理解する気もないキミは
優しく突き放した
苦しいことも 悲しいことも
乗り越える理由もわからずに...

屋上の片隅で
遠い空を見てる君
足には重い枷
背中には重なる期待
縁に飛び乗って
不意に振り返る君
緩やかな追い風
逆光で重なる影
「ずっといい子でいたんだ
何でも言うこと聞いていた...

晴れ渡る 空の下
変わる前に手を伸ばした
弱い心を隠すように
ただ雨を待っていた
負けないで 顔上げて
泣くくらいなら笑って
緩む涙腺を無視して
君を探していた
空高く飛べたなら
抜けるような青に包まれて...