春雨

優しい誰かがひいてくれた
この平凡でつまらぬ道を
進んでいればきっといつか
普通の大人になれたのに
あちらの果実は美味しいと
あそこの花は綺麗だと
寄り道ばかりをしていたら
いつかの道は消え去っていた
風の便りに聞いた話
虹の先には理想郷...

何百何千何万の時
僕は一人で生きていく
今はもうない時計塔の鐘
懐かしく思いながら
当たり前の幸せな日々
壊れたのはきっとあの日
少しの好奇心といたずら心
もしもあの日に帰れるのなら
もしもあの日に伝えられるのなら
あの日の僕らよどうかどうか...

あの日の彼女に降りかかった
呪いの正体を暴く為に
今日も今日とて訪れる
街外れの時計塔
鳴るはずの無い壊れた鐘の音
あの日ぼくらは確かに聞いた
行かないで逝かないで
僕に何が出来るの？
側に居て僕の隣に
また一緒に笑おう...

一体何が狂ったのか
一体俺が何をしたのか
どうしてこうなったのか
どうしても逃げられない
あいつがついてくる
何処までも何処までも
振り払おうとしても
どうしてもどうしても
離れろ離れろこっちへ来るな
触れるな喋るな近づくな...

雨上がり街外れ
そびえる時計塔
時を示す針の赤は
今日は誰の血の色？
少女は目指す時計塔を目指す
0時の鐘はまだ先
clock clock murder
時計塔の殺人鬼
時を刻む2本の剣で
今日は誰のクビを落とすの？...

いつもそうさ一人きりで
赤い花を見つめていた
静かすぎる狭い部屋に
鳴り響く秒針の音
チクタクチクタク響く音が
僕の時間を削るようで
耳を塞いだところで
何の意味も無いけれど
ガラスの向こう
君のいる場所は遠くて...

当たり前に過ぎてく毎日を
当たり前に過ごす事すらも
当たり前に辛く当たり前に苦しく
当たり前に今日も
「死にたい」と呟く
右も左も敵だらけ
鋭いナイフをチラつかせ
油断をすればやられるから
ひたすらにガードを固めるのです
鋭く刺さるその視線に...

何よりも憧れたものは
僕には似合わなくて
何よりも憧れたものに
押しつぶされていく
空に浮かぶあの月に
必死に手を延ばしても
静かな夜の湖畔に
1人の馬鹿が映るだけ
誰よりもラフな生き方
何も縛られず何も縛らず...

ハッピーエンドなんてつまらないだろ？
悲劇こそに美学がある
悲しきロミオとジュリエット
皆から愛されていただろう？
誰も傷つかず誰も苦しまず
平和だ安泰ぬるま湯人生
そんなの誰が見るってんだ？
ハッピーエンドなんてつまらないだろ？
人生そんなにうまくいかないぜ？
何千何億何京ある物語の中で...

大好きだなんて言ったって
君の心には届かないだろう？
そばにいるなんて言ったって
君は聞いちゃいないんだろう？
諦めて口にしなかった
その言葉の一つ一つで
救えたかもしれなかったのに
後悔なんて意味ないだろ
君が置いて行ったもの
零れるほどの優しさを...

月が月が見えない夜も
星が星が砕け散っても
時が時が流れるならば
華は華は咲くでしょう
あゝ大樹の神よ
我今こそ問わん
魂封せし永久の華
咲くは何時ぞやと
空が空が澄み渡っても
母が父が愛していても...