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PCの駆動音が止んだ。
俺は重たい身体をベッドへ放り投げる。
目を閉じて思い出すのは、ついさきほどまでのミクとのやりとりだ。
《バーサス・ボーカロイド》。
何者かの思惑蠢く怪しげなネットゲームだ。
しかも深夜〇時に勝手に起動するという厄介なシステム付きだ。
負ければ契約相手、ボーカロイ...バーサス・ボーカロイド|第二話《抗争インストラクション》④
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「さぁ、俺の自慰タイムを妨害してくれたんだ。その分のサービスはしてくれよミクぅ……ぐへへ」
そんな俺の声はシカトすることに決めたらしく、ミクは平常なトーンで説明を始める。
『まずマスター。このVSV.netという名のゲームなのですが……』
「ふっ、そっちがその気なら、こっちにもやり方ってモンがある...バーサス・ボーカロイド|第二話《抗争インストラクション》③
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俺のウェーブパッドへ声が送られている。
その声を、俺は知っていた。
「ミク……!?」
その瞬間、俺の脳内を一気に情報が駆け抜けた。
寝ぼけて忘れてるんじゃねえよ。馬鹿か俺は。あれだけの現象をよ。
「生きてたのかッ!? っていうか何なんだよアレは! いい加減説明してくれ! プリーズインスト!」...バーサス・ボーカロイド|第二話《抗争インストラクション》②
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俺はPCデスクの上に突っ伏して寝落ちしていた。
何か夢を見ていたような気もするが、どうにも思い出せない。
何だか随分と必死になっていたような気もするんだが……う~ん。
顔を上げるとほっぺたにコード跡が残っていた。これだから寝落ちは嫌だ。この顔を人に見られようものなら、からかわれるのは必至。今...バーサス・ボーカロイド|第二話《抗争インストラクション》①
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《地下水道》……そう呼ばれたこの風景は、まさしく見たままの風景だった。
足下には水溜まりが一面に広がっていて、水深はかなり浅い。1センチ程度だろう。
その水は薄暗い天井から滝のように流れ落ちてきていて、下流には網目の格子があってそこから階下へ流れ落ちているらしい。
壁も天井もコンクリート造り...バーサス・ボーカロイド|第一話《電脳バーサス》③
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「……で、これがミクのスペックな訳か」
改めて見てみると、そこには身長体重などの基本スペックの他にイクイップメント、つまり装備の項目があった。
一番上には8/9という数字。ここにはキャパシティと書かれている。
その下には近接武装《ネギ・ブレード》との表示。他には遠隔武装《ハピネス・ポップ》。
...バーサス・ボーカロイド|第一話《電脳バーサス》②
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『マスター! マスター! 聞こえますか!?』
そんな可愛らしい少女の声が聞こえ、俺は周囲を見渡した。
暗く黒い世界だ。
特に何も見当たらないが、空に幾つもの線が伸びている。規則的に並んだ緑色の線は縦、横、奥へと駆け巡っている。例えるならグリッド線。X軸、Y軸、Z軸を指し示すラインに似ている。そ...バーサス・ボーカロイド|第一話《電脳バーサス》①
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そのパッドの発明は人類にとって革新的な一歩となった。
と言ってもそれは何もお胸に当てるパッドのことじゃない。確かにある意味では革新的な一歩なのだろうが、お胸のサイズを気にする女性だけにしか需要がないのなら、わざわざ人類にとって……などと大仰な物言いをする必要はなかっただろう。
つまり何が言いた...バーサス・ボーカロイド|プロローグ《覚醒ウェーブ》
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黒く暗い 広い海原
朱く暗い 焼けた臭い 求め往く安息の地
渡り歩く 長い旅路
碧く暗い 広い大地 辿り着いた安息の地
求められた燃料 求められた少女達
求められた安息 使われた少女達
―――例えそれが束の間の安息だとしても...
碧く光る紫電の様に 一瞬の命を示すが如く
朱く燃える焔は滑り やがて...紫電ノ箱庭 [ThunderBird]