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赤茶けた石組みの道が迷路のように絡み合って、アリアの町はありました。何本もなんぼんもつながってできた道は大通りから裏小路まで、通らない場所はありません。らせんのようにぐるぐる連なった道はどこでも古い魔術に満ちていて、時折カラスの仰々しい音頭がそら一杯に響き渡っては、少しの不思議を日常に潜ませるのでし...

【シナリオ】ごまかし師とアリア

一色

一色

うそつきでも詐欺師でもなく、言葉巧みにものの見方を変えることができる者。
作詞一色と作曲salさん、イラストどくみつさんによるオリジナルキャラクターです。

昔むかしのずうっとむかし、真理を得て魔術の真髄を極め、森羅万象に精通した偉大な魔術師がおりました。
あらゆることを理解した彼女には、一つだけ分からないことがありました。

それは人の想いです。

流れ星よりも儚いながらも、時に太陽よりも輝く人々の営み。
か弱いものが獣さえも退け、どれほど力ある者であっても、時には赤子の鳴き声一つで破滅する人生。
何もできないながら、一つのことを磨き続け、ついには神に至った愚者の有様。

理屈ではなく、想いひとつで成し遂げる強さと、同時にある弱さ。

全てを極めた魔術師は、それが眩しくてしかたがありません。
あらゆることができるからこそ、自分が持ち得ない「想いの力」
魔術師はある時、自分の全てを捨てました。

膨大な魔術も、真理の知啓も、永遠を生きる身体も。
引き換えにまっさらな命を手に入れました。

かつての偉大な魔術師は、今ではよくよく回る口だけを頼りに、世界を渡り歩くのです。
事象を捻じ曲げるのではなく、事実の見方を変えていく「ごまかし師」として。
彼女の旅は、どこでだって続くのです。

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