タグ「鏡音レン」のついた投稿作品一覧(11)
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「つまりね、ミクの誕生日パーティーをやりたいわけよ」
メイコはそう言って手を打ち合わせた。
「たんじょうびぱーてぃー?」その場にいた皆が顔を見合わせた。
「そうよ、サプライズパーティー!良くない?」
今日のメイコはやけにテンションが高い。後輩の世話をするのが大好きなメイコだ。きっと後輩の誕生日な...サプライズパーティー(少しカイミク?注意)
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「・・・めぐさん?」
ユキちゃんが震えながら、そう口を開いた。
その声は時間の止まった空間にぼんやりと響き、しかし、はっきりと聞こえた。ユキちゃんが不安そうに服の裾にしがみついてくる。
残響がゆっくりと響き渡った後、相手はにんまりと、先程と幾分も変わらぬ笑みで笑いかけてきた。元気そうな暖かい...鬼さん此方、手の鳴る方へ。 -壱拾弐-
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「ミキさん、ミキさん!」
「わっ!どうしたの?」
「向こうで患者が暴れてるんです!氷山先生が抑えているらしいですから、行ってあげてください!」
「わかったわ。・・・あれ、めぐ、めぐは?」
「私もすぐ行きますんで、ミキさんは早く!」
「え、ええ、それじゃ!」
「・・・。・・・。・・・ふう...鬼さん此方、手の鳴る方へ。 -壱拾壱-
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「レン、レン、レンだ・・・!レン・・・!」
少女は目に一杯の涙を溜め、俺の顔を、何か生き別れた兄弟にやっと会えたような・・・、そんな顔をして見つめていた。瞼に収まりきれなくなった涙が、少女の美しい瞳から、ぽろぽろとこぼれていく。
どういう事なのだ。・・・この少女は、俺を知っているのか。・・・い...鬼さん此方、手の鳴る方へ。 -九-
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・・・。
・・・・・・。
・・・あれ。
アタシ・・・どうしたんだっけ。
・・・そうだ。あの森から少し離れたところで、疲れきってるトコロをミク姉が助けてくれて・・・その後ルカ姉とも合流して・・・。
・・・それで。
・・・それでどうしたんだっけ・・・。
・・・。
・・・・・・。
レン...鬼さん此方、手の鳴る方へ。 -八-
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「あのね、私達人探ししてんの」
窓を開けていきなり、ミクと名乗った少女はそう言った。
人探し。残念だがお前らは知らない奴だし、お前の仲間のトンデモ人間なんかもっと知らん。そして何故俺は窓を開けてしまったんだ。レンの知り合い?そんなんわかんねえじゃねえか!
マズイという言葉はここまで引力が合っ...鬼さん此方、手の鳴る方へ。 -六-
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氷山に案内された先は、誰もいない別の待合室であった。
まあ、大きな病院だ。混んだ時なんかのために待合室が二つ三つあっても驚くことではない。ただ、てっきり何処かの部屋に案内されるとばかり思っていたので、俺はなんだか少し拍子抜けしてしまった。
その待合室は先程の待合室より狭く、廊下を通った先のつき...鬼さん此方、手の鳴る方へ。 -伍-
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・・・どういうことだ。
時計に目をやる。レンから電話がかかってきたのが六時頃、で、今はもう八時近い。
もう一度言おう。どういうことだ。
レンの家からココまではそんなに遠くはない。商店街を挟んで向こう側だ。早くて十五分、遅くても三十分だ。二時間も掛かるはずは無いだろう。
こちとらお前が来るっ...鬼さん此方、手の鳴る方へ。 -四-
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「・・・っ!・・・お、おい!」
ぐったりとうつ伏せに倒れた少女に駆け寄り、座り込んで急いで抱き起こす。
少女はしかし、意識はもうないようで、いくら揺り動かしてもぴくりとも動かなかった。
頭の中に“死”の一文字がよぎり、慌てて胸元に手を置いた。ああ、よかった。まだ心臓は動いている。大きくほう、...鬼さん此方、手の鳴る方へ。 -参-
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「まったく、もう!」
大きなツインテールを振り乱し、緑の髪の少女は叫んだ。
「ドコ行っちゃったのよ、あの子ー!」
その声は夜の闇と静寂に包まれた森の中で、ひどく大きく響き渡った。
ひとしきり、ああ、もう!、と叫んだ少女は、ふつふつと募る苛立ちを抑えようと頭を強く掻き毟った。もう、もう、と呟...鬼さん此方、手の鳴る方へ。 -弐-
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頭がくらくらする。
耳の奥で、ざざ、ざ、ざざ、とノイズの音がする。
重くてしっかり開けることのできない眼。少しだけ開けた視界は、ぼんやりとぼやけて見えた。
耳の奥のノイズが強くなる。
何も見えない、何も聞こえない。そんな自分に、曖昧な世界に怯える。
たすけて、と出そうとした声は、声になら...鬼さん此方、手の鳴る方へ。 -壱-