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「ねぇ、ミク」
声をかけると、ミクは買ってやった葱の根元をガリガリと齧りながら横柄に応えた。
「なんれふかマスタァー」
涎が垂れかけて緩んだ口調になっている。
手近にあったタオルを投げつけると「ふががっ」なんて女の子らしくない声を上げて四畳間に倒れ込んだりする。まったく…
「葱ってそんなに美味いの?...葱。
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「あ。」
ぽかりと口を開けてミクが言った。
何の意味もなさない音声が空間にぽんと現れ、霧散していく。
「どしたの」
僕の問いかけには応えないまま、ミクはぼんやりと部屋の片隅で三角座りしたまま動かない。コテリとたたんだ布団に寄りかかって蛍光灯の辺りを眺めてなんかいる。
僕は作業へと戻り、ミクはまたスタ...虚空。
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ひゃくまんかいうたいたいうた
そんなうたがほしい
それがどんなものかはわからないけど
それはきっとあなたへのうた
りょうてでみみをふさいだあなた
そのおくにまでしみわたるように
ぼくはそのうたをうたうから
あなたはそっとこまくでわらって
百万回。