タグ「オールドラジオ」のついた投稿作品一覧(8)
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数日たった、早朝。
窓から外を伺うと、まだ真っ暗で、明かりもずっと遠くにぽつぽつとしかみえない。
「よし」
1人頷いて、人形を見下ろす。
僕が何をするつもりか感付いているのか、不安そうに見える。
「…行こう。やってもらいたい事ができたんだ」
そう言った僕に、彼は小さく頷きを返した。
~箱庭にて~
七...【勝手に解釈】箱庭にて 七章
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父が帰ってきてから、僕は前ほど上手く笑えなくなった。
何故かは解らない。
でも、お母さんや芽衣子はもちろん、未来も鈴も錬も、僕を気遣う声をかけてくる。
「ごめんね。心配させちゃったね。大丈夫だよ、おにーちゃんは強いから」
「本当に本当?」
「うん、本当に本当」
それでも明るくならない3人の顔に、僕は...【勝手に解釈】箱庭にて 六章
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人形は、はっきり言って、すごくいいヤツだった。
機械の事を何も解っていない僕が、何か無茶な事をしても、咎めずに1つ1つ正してくれた。
最初は、僕がMasterだからかとも思ってたけど、仕事に遅れそうな時には怒られたから、そうでもないみたいだ。
そのくせ、初日に何でも訊いていいと言ってやったせいか、僕...【勝手に解釈】箱庭にて 五章
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頭が混乱して、何も言えずに、目の前の機械仕掛けの僕を見つめる。
機械の僕も、じっと僕を見上げている。
さっきまで、箱が光らせていた文字を思い出した。
…僕の命令を、待っているんだ。
~箱庭にて~
四章
どれだけの間、そうしていただろう。
ふと、ずっと互いに動いていなかった事に気付いた。
機械を所有す...【勝手に解釈】箱庭にて 四章
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家に着くと、まっすぐ一番奥の部屋へと向かう。
昔から…それも父がまだいた頃から、あの部屋の中にだけは、絶対に入れてもらえなかった。
今になってその鍵を僕に渡すとは、どういう事なんだろう。
すんなり鍵穴に差し込めた鍵に、僕は少しだけ、不安を覚えた。
~箱庭にて~
三章
扉を引くと、舞い上がる埃に咳き込...【勝手に解釈】箱庭にて 三章
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最初のショックを乗り越えてしまえば、意外と冷静でいられた。
ずっと忘れていて、夢を見て初めて思い出した事といい、この事といい、我ながら薄情だと思う。
ただ、頭の奥の方でぼんやりと、これで僕は本当に、独りになってしまったんだと、他人事のように考えていた。
~箱庭にて~
二章
手紙には、僕の父が死んだと...【勝手に解釈】箱庭にて 二章
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かつて大都市だった名残の、舗装された道を走る。
時折肩が人にぶつかっても、謝りもせずに、ただ、前を見据えて走り続ける。
『待って』
息切れしそうになりながらも、ずんずん進んでいく大きな背中を呼んだ。
それでもこちらを向いてくれない事がもどかしくて、頑張ってスピードを上げようとしたけれど。
『こら!ど...【勝手に解釈】箱庭にて 一章
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僕らが生まれるずっと前。
人間は、自分たちの持つ知識、技術、あらゆる物を駆使して、それはそれは豊かな生活を送っていた。
しまいには、それまで人間がしていた仕事を、機械がほとんど全て代わりにしてくれるようになったという。
そこで止めておけば良かったのに、人間は、自分たちの力をさらに高めようと、欲の赴く...【勝手に解釈】箱庭にて 序章