タグ「鏡音リン」のついた投稿作品一覧(34)
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朝餉(あさげ)の席へと、足早に歩む蓮は、ふと、足を止めて、ため息をついた。
海渡が、白いひげを蓄えた、上官なのだろう、男に、何やら、言われている。叱責でも、受けているのだろう。もっとも、叱責とは名ばかりの、言いがかりなのだが。
蓮は、小さく息を付くと、男のもとに、歩み寄った。
「海斗は、神子直...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 四
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心地の良い、夢のような時間。
いや、まさしく、夢の時間。
その蓮の夢を、壊すのは、いつも、間の抜けた声だった。
「れんぼ~う! 起きようよぉ! 朝だよ~!」
その声を聴くたびに、蓮は、その声の主が、少し、憎らしくなる。
人の夢を邪魔しないでほしい。
せめて、余韻にくらい、浸らせてほしい。...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 三
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鈴が、楽しそうに、軽やかに、舞うから、蓮も、それを、うつした。自然と、唇が、鈴の歌をうつし始める。
リン、リン、リンと、鳴り響く鈴の音と、一つの声のように、合わさった、蓮と鈴の声。その歌声に、薄桃色の花が、金の光をかたどるように舞い咲いてゆく。
伸ばした手が、触れそうで、触れないまま、離れ、扇...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二
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まだ陸がなく、世界が空と水だけで別たれていた頃、水には、男(おのこ)しか、棲まず、空には、乙女しか、棲みませんでした。
そんな遠い昔、双子の月は、共に、水の中に沈んでいました。
しかし、ある時、ひどい津波で、月の一つが、空に、投げ出されてしまいました。
水の中の月は、一生懸命、片割れの月を呼...双子の月鏡 ~蓮の夢~
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