ふきたぼろ

夜、空に落ちる
冷たい空気が肌を刺して　夜の暗さに目も慣れてさ
列車はとうに終電を告げて　街の光にサヨナラしよう
いつついたか分からない傷が　明日への扉を開くなら
最適解を
最適解を探しに行こう　最先端じゃなくてもいいさ　
重力さえも置き去りにして　曖昧な言葉でもいいさ　
「空に落ちよう」
温かな陽...

Basil Sauce
こうやっていなくなれば　誰も傷つけぬように　何も見えちゃいないな　電波も飛ばないまま
最後に交わしたのは　どんな台詞だったか　何も聞いちゃいないな　忘れたくないのにな
でも誰かと歩く僕は　笑えるようなことを　言えはしないと知っている　今がそうであるように　教科書通り生きよう　...

恋、トマト、忘却
もう、散々だ
今日は行くとこなんてないし　きっとあの子も忙しいし　どうせWi-Fi飛んでないし
ああ、天蓋だ
恋は盲目だって言うし　ずっと憶えてなんかないし　当然死ぬつもりもないし
でも「雨ダ」というあなたの恥ずかしくなるような声と笑えるような仕草が
泣けてくるのは何でだ　「マタネ...

ハイドロ・メランコリ
飛び立った空は泣いた　雲は黒いまま
一人ビルの上　透明の鯨
沸き立った諦観が　それは五月蝿くて
右手で払えば　袖が濡れている
消し去った訳はなんだ　誰も彼も聞くけれど
それはほんと単純で難解だ　今に分かる
行動を起こす度に　理由意味を聞くけれど
ほんと嫌になってくる　喧騒だ　憂...

color
散々使い古されてきた色が　僕に似合う色だと気づいた
君は見たことのない色を　選んでは　散々馬鹿にされた色と言った
「君だけの僕だけの色をほら　探して　それが美しい」
溶け出す隘路駆け抜けて光へ一人へ
誰もがそうなれたらなって大通りを歩いて
虹が架かるのを待ってる
願って祈ってばかりの　嘘...

グッド・エンド・バット
「聞いてよ　簡単な事なんだ　ある日僕ら人類は　沢山の罪と罪を精算するんだ
錆び付いたブリキのおもちゃ　何の気に捨てちゃうように　
あのビルをへし折るだろう　間違いないんだ」
あなたはそう言って信じて疑わないな　冗談であれば良いと本気で祈っている
ひりついた喉と心臓　何の気に交...

ライトヴェイルダンス
鳥が鳴いていた 空は晴れていた
9時をすぎている パンをかじっている
席は空いていた 誰も座らずに
髪を気にして 次で降りようか
幕は上がっている 街は変わっている 僕は踊るように生きていくのだ
何を踊ろうか 何を演じよう 明日を呪うように生きる
それでも
雨に打たれた後に...

HOME
あの壁はうそでできていて　僕は2日前に気づいたのだ
空に描かれた顔を睨んだ　雲は笑わないらしい
口に残るパイの焦げた味　僕に酸いと甘いを諭す様に
いつまでもこびりついて離れない今も
この家はあなたを守るから　覚えているのはその声だけで
後は君の嘘の様な話だ　顔は知らないけれど
「太陽は見え...

Biblio
満たされぬまま僕は本を漁っては　うだる暑さの中君を思い出した
何もかもが太陽に溶ける季節を　避けるように頁の陰に目を移したんだ
あの表紙が　あの声が
君が読んでいた　君が好きだった　本をどうか教えて
積み重ねていた　本の数だけ　僕は恋に落ちていく　
でも　君が読んでいた　どんな本よりも...